【冬の季語】小春

【冬の季語=初冬〜仲冬(11月〜12月)】小春

「小春」は旧暦10月の別称。現在でいうと、ほぼ11月から12月上旬の時期にあたります。

一般的に「小春日」「小春日和」は、「晩秋から初冬の時期に、春のように暖かく穏やかに晴れる日」に対して使われる言葉ですが、俳句では冬の季語。「小六月」と呼ばれることもあります。

この時期には、シベリア高気圧の勢力が強まり、北西の季節風、すなわち「」が吹いて日ごとに冷え込んでいくのですが、たまに冬型がゆるんで暖かくなる日があります。これが小春日和です。

こんな日には「日向ぼこ」も気持ちよき。


【小春(上五)】
ああ小春我等涎し涙して 渡辺白泉

【小春(中七)】
月の鏡小春に見るや目正月 芭蕉
団栗は小春に落つる端山かな 言水
デズニーに遊び小春の一と日かな 高浜年尾
湯屋あるらし小春の空の煙るかな 奥名房子
ひとり発つ小春に母を置きて発つ 大谷弘至

【小春(下五)】
古家のゆがみを直す小春かな 蕪村
立ち出でて鶏の雛見る小春かな 加舎白雄
海の音一日遠き小春かな 暁台
先生と話して居れば小春かな 寺田寅彦
白雲のうしろはるけき小春かな 飯田龍太
孫悟空居さうな雲の国小春 高田風人子
猫の目に海の色ある小春かな 及川 貞
遠まわりして生きてきて小春かな 永六輔
綿菓子の糸の先まで小春巻く 高井敏江
鷹去りていよいよ鴨の小春かな 坊城俊樹
縄跳びの入口探す小春かな  河野けいこ
日を乗せて潮満ちくる小春かな 牛田修嗣
泥水のバケツに澄める小春かな 藤本夕衣


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