【秋の季語】鵙

【秋の季語=三秋(8月〜10月)】鵙

全長20cmほどの留鳥で、通年で観察されるが、秋に高鳴きをしてなわばりを確保することから、秋の季語とされている。木のてっぺんなどでキーイッ、キーイッと鋭い声で鳴く。小鳥ながら肉食で、くちばしはタカのようにカギ型をしている。越冬したものは、2月頃から越冬した場所で繁殖する。

〈秋の野の尾花が末に鳴く百舌鳥の声聞くらむか片侍つ吾妹〉(作者不詳『万葉集』)、〈春されば百舌鳥草潜き見えずとも吾は見遣らむ君が辺りをば〉(作者不詳『万葉集』)など、万葉の世より詠まれてきた小鳥である。いろいろな鳴き声をするので「百舌」「百舌鳥」という漢字を宛てることもある。江戸時代はモズは凶鳥とされ、鳴き声の聞こえる夜は死人が出ると信じられていた。

俳句では、その声が澄んだ秋の大気と通ずるので「鵙日和」「鵙の晴」などとも用いられる。


【鵙(上五)】
鵙の朝肋あはれにかき抱く 石田波郷
鵙の木の下に始まる紙芝居 柿本多映

【鵙(中七)】
つばさ無きかなしさ鵙に啼き去られ 三橋鷹女
ひとつ家に鵙きりきりと街暮るる 角川源義

【鵙(下五)】
やうやくに印肉硬し鵙のこゑ 山口誓子
冷たい水の天辺で鵙騒ぐ 平田修


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