夏の季語

【夏の季語】鮎

【夏の季語=三夏(5月〜7月)】鮎

アユは秋に川で生まれるとまもなく海に下って、冬のあいだは海で過ごす。春になる再び川を遡り、夏は上流で過ごす。鮎漁の解禁日は、早いところで5月初旬。平均的には、6月初旬ごろか。川魚だが、泥くささはなく、淡白で上品な味わい。塩焼きや鮎膾など、さまざまな食べ方で旬を楽しめる。「年魚」「香魚」とも。

秋になると、鮎は産卵のため下流へと下るが、これを「落鮎」「錆鮎」などといって、秋の季語としている。逆に、「若鮎」「上り鮎」などは、春の季語。


【鮎(上五)】
鮎食うて月もさすがの奥三河 森澄雄
鮎さげて鳥居の下の明るみに 田中裕明
鮎は影と走りて若きことやめず 鎌倉佐弓

【鮎(中七)】
うつくしき鮎の青串高麗の竹 山口青邨
性あらき郡上の鮎を釣り上げて 飴山實
この神に鮎とぶことの太古より 大峯あきら
夜の雨や吉野へ鮎を食べに来て 大石悦子

【鮎(下五)】
ふるさとはよし夕月と鮎の香と 桂信子
箸先に雨気孕みけり鮎の宿 岸田稚魚
一人づつ流れ窪ませ鮎を釣る 柏原眠雨
天井にある水かげも鮎の味 正木ゆう子
五十音の国に生まれて生きて鮎 宮崎斗士



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