【夏の季語】夏痩

【夏の季語=晩夏(7月)】夏痩

夏は暑さで食欲が減退することがある。とくに油物はきつい。

そんなこんなで体重が減ってしまうことを「夏痩」というが、これが実は古い言葉で、初出は万葉集ともされる。

石麻呂にわれ物申す夏痩に良しといふ物そ鰻取り食せ 大伴家持(巻十六・三八五三番歌)

(訳:石麻呂に私は申し上げたい。夏痩せによいというものですよ。鰻をとって召し上がりなさい)

」は栄養によいということは、当時から認識されていたらしく、また歌に出てくる「石麻呂」は、本名を吉田老(よしだのおゆ)といい、たいそう痩せ型のインテリであったそうである。

「夏痩せ」の「せ」は送らないことも多い。「夏負け」ともいう。


【夏痩(上五)】
夏痩もせずに繭煮る女かな 尾崎紅葉
夏痩せの子の髪ばかり伸びにける 西村和子
夏痩の妻が少年ジャンプ読む 西川火尖
夏痩の汝と我やめがねして 藤田哲史

【夏痩(中七)】
おもかげやその夏痩の髪ゆたか 水原秋櫻子
久闊の手とり夏痩かと問はれ 田畑美穂女

【夏痩(下五)】

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