【第3回】聖パウロ教会

【第3回】
聖パウロ教会


  今日はクリスマスイブである。教会のミサに行かれる方もいるかもしれないが、軽井沢にはいまも聖パウロ教会などの歴史の長い教会がある。堀口星眠も軽井沢で教会の句を作っているが、星眠にとって、聖パウロ教会は現在ほどポピュラーにはなっておらず、信仰の場という厳粛な印象のある場所だったのではないだろうか。

教会のくらさ向日葵を見しゆゑか 堀口星眠

 聖パウロ教会を詠んだ句である。昭和24年の句であり、教会内部は今想像するものよりも暗かったのかもしれない。向日葵との明暗のコントラストが効いており、教会の暗さが引き立っているように思う。

とりどりの秋果買ひゆけり弥撒のあと 堀口星眠

 軽井沢在住の外国人がミサに多く参加していたそうだ。ミサのあと、その参加者たちが軽井沢銀座などに出て、秋の実りに感謝しつつ、それを買っている、という秋らしい華やぎの感じられる句である。いずれの句も、教会の厳粛と、俗界の明るさといった対比がある。読者諸兄にとってのクリスマスが、明るいものでありますように。

(庄田ひろふみ)


【執筆者プロフィール】
庄田 ひろふみ(しょうだ・ひろふみ)
昭和51年生、平成11年より天為同人
令和7年 一句集「聖河」上梓



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