【秋の季語=初秋(8月)】西瓜
スイカといえば、熊本ですね。全国出荷量の約2割近くを占めています。
ついで多いのが、千葉県、そして山形県。
日照時間が長く夜は涼しい、水はけの良い砂地や栄養がある火山灰地質の土地が良いとされています。
夏休みなどに浜辺で「スイカ割り」をしたりするのも夏の風物詩ですが、俳句的には、秋の季語。
時期がずれているのでは、という指摘は昭和初期からあるようです。
【西瓜(上五)】
西瓜より冷きものののぼりけり 松本たかし
西瓜切るや家に水気と色あふれ 西東三鬼
西瓜たべやすきかたちの佝僂われよ 國弘賢治
西瓜食べながら語れるほどの恋 長山あや
西瓜売り厚き筵をひろげけり 皆川盤水
西瓜真二つわれらは同志今の今 宇多喜代子
西瓜抱き産まざる乳房潰すなよ 鷹羽狩行
西瓜食ふまだ机なき兄妹 小川軽舟
西瓜から大阪湾のでてきたり 岡田由季
西瓜切る鎖骨に雨の匂いかな 神野紗希
【西瓜(中七)】
女形らしく西瓜をたうべける 大場白水郎
トラツクが西瓜畑に横づけに 小原大葉
季すぎし西瓜を音もなく食へり 能村登四郎
ふっと刃を当つる西瓜の赤道や 澁谷道
大河内伝次郎西瓜まつぷたつ 八木忠栄
大いなる西瓜の冷えてゐたりけり 行方克巳
塩田の句碑へ西瓜の蔓またぐ 栗田やすし
くらぐらと西瓜の冷えてゐたる家 間村俊一
人の死や西瓜の皮を鯉つつく 小澤實
青空より西瓜へ世界まつぷたつ 鎌倉佐弓
清流をくねらす西瓜冷やしけり 今瀬一博
抱き合ふやうに西瓜を渡しけり 野口る理
【西瓜(下五)】
どこにこのしぶとき重さ西瓜抱く 山口誓子
目隠しの中も眼つむる西瓜割 中原道夫
三人に見つめられゐて西瓜切る 岩田由美
古式ゆかしき切り方でよければ西瓜 櫂未知子
大胆な足の運びの西瓜割り 矢野玲奈