冬の季語

【冬の季語】風花

【冬の季語=三冬(11〜1月)】風花

」が、空から「花」=「桜の花びら」のように、はらりはらりと舞落ちてくる感じ。

あるいは、降り積もった雪の表面が、風に煽られて、一時的に宙をただよう感じ。

下五で「風花す」と動詞的に用いられることもある。

俳人・中村汀女は、更に『汀女句集』『春暁』『半生』を上梓後の1947年、47歳で「風花」を創刊主宰した。俳誌名は「今日の風、今日の花、その時心新しく俳句すべし」に依り、1952年から日経俳壇選者を33年間勤めた。→「俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第27回】熊本・江津湖と中村汀女

木下恵介監督には映画『風花』がある(1959・松竹大船)。

川上弘美には『風花』 という小説作品がある(集英社、2008年)。


【風花(上五)】
風花の窓開きなば狂ふべし 三橋鷹女
風花やわれに寄り添ふ母の墓 加宮貴一
風花や蹤き来てそれし一少女 角川源義
風花もひとたびは寧し一間得し 藤田湘子
風花や玩具の如くわれころび 阿部完市
風花を富士の白きに見失ふ 谷口荒太
風花は声なり声は聞こえねど 高野ムツオ
風花やまばたいて瞼思い出す 池田澄子
風花をワイン抱へて戻りけり 高松武雄
風花や啓示のやうに詩のやうに 山田蹴人
風花を母の便りとして受くる 伊藤伊那男
風花や空には腕二本のみ 小林千史
風花のひとひらづつが鳥の褥 田中亜美
風花や遊具は海の真向かひに 松本てふこ
風花やまだ母でなく父でなく 神野紗希
風花に震へる犬の温さかな 野口る理

【風花(中七)】
捨て人形風花に眼をひらきゐる 能村登四郎
わが腕は翼風花抱き受け 世古諏訪
海見えて風花光るものとなる 稲畑汀子
束の間の風花惜しむ神田かな 五十畑明

【風花(下五)】
風鬼元風紀係よ風花す 坪内稔典


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