季語・歳時記

【春の季語】春寒し

【春の季語=初春(2月)】春寒し

立春」が過ぎてもまだまだ寒い、という感じを表す季語。

連用形だと「春寒く」、連体形だと「春寒き」となる。

名詞として「春寒」とも。


【春寒し(上五)】
春寒し水田の上の根なし雲 河東碧梧桐
春寒し鵜を荒海へ残し去る 阿部みどり女
春寒し汁なまぐさき駅の蕎麦 相馬遷子
春寒し地蔵の見えぬ地蔵岳 大木あまり
春寒き死も新聞に畳まるる 津川絵理子

【春寒し(中七)】

【春寒し(下五)】
かりそめの情は仇よ春寒し 高浜虚子
うま酒の伯耆にあれば春寒し 石橋秀野
もの書けば君を見ぬ世の春寒し 石橋秀野
言葉とは時には武器に春寒し 大竹多可志
美しくほどけぬ紐や春寒し 川口真理
イソホ物語刷る音いづこ春寒し 角川源義
鳥のやうに止まる絵の前春寒し 山岸由佳                       
下京や七味がぱつと春寒し 安里琉太

【春寒く(上五)】
春寒くあぎとふものの糶られけり 行方克巳
春寒く壊さぬやうに飴の鳥 佐々木六戈
春寒く身は何病の潜伏期 江里昭彦

【春寒く(中七)】
独活置いて厨春寒く仏事かな 長谷川かな女

【春寒く(下五)】


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】



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