【春の季語】鷹鳩と化す

【春の季語=仲春(3月)】鷹鳩と化す

中国古代の天文学による七十二候のひとつ「鷹化為鳩」に由来する季語。

現在の太陽暦でいうと、3月16日から20日の頃に当たる。「啓蟄」の第三候。

出典は古代中国に書かれた『呂氏春秋』。

春の穏やかな気配の中では、鋭い目で獲物を狙う獰猛な鷹も、ほのぼのとした鳩に変身してしまうということ。輪廻思想の萌芽である。

季語としては案外古く、一茶が〈新鳩よ鷹気を出して憎まれな〉などの句を残している。


【鷹鳩と化す(上五)】
鷹鳩と化して青菜をつつきをり 棚山波朗
鷹鳩と化し神木は歩かれず 鷹羽狩行
鷹鳩と化し童らに蹴散らさる 中村孝哲
鷹鳩と化して年金暮しなる 平山みどり
鷹鳩と化しぞんぶんにたむろせり 櫂未知子
鷹鳩と化して大いに恋をせよ 仙田洋子
鷹鳩と化すや嫌はれてもいいや 矢口晃

【鷹鳩と化す(中七)】
煦煦くくとして鷹とて鳩になりにけり 森澄雄

【鷹鳩と化す(下五)】
一病を得てよりの夫鷹鳩に 西村揚子
鷹の目を残して鷹の鳩と化す 島谷高水


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】



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