夏草を分けまつさをな妣の国 恩田侑布子【季語=夏草(夏)】

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夏草を分けまつさをな妣の国

恩田侑布子


折口信夫に「妣が国へ・常世へ」と題されたエッセイがある。「すさのをのみことが、青山を枯山なす迄慕ひ歎き、いなひのみことが、波の穂を踏んで渡られた「妣が国」は、われわれの祖たちの恋慕した魂のふる郷であつたのであらう」と書く折口の神話学/季節論を、恩田は間違いなく踏まえている。少し強めの風が夏草を煽りながら、歴史の古層までわたっていくようだ。『夢洗ひ』(2016)所収。(堀切克洋)



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