冬の季語

【冬の季語】水洟

【冬の季語=三冬(11月〜1月)】水洟

風邪」の一症状として、鼻から粘液が多量に分泌されること。

現在は一般的に「鼻水」と呼ばれているが、この語が用いられるようになったのは、主に20世紀に入ってからであり、以前は「水っぱな」→「水洟」と呼んでいた。「洟」の漢字は、一字で「はなみず」を表す。

動詞的に「洟をかむ」が季語として用いられることもある。

はなひり」は「くしゃみ」のことである。


【水洟(上五)】
水洟や仏具をみがくたなごころ 室生犀星
水洟を貧乏神に見られけり 松本たかし
水洟の師の一喝をおそれけり 大橋櫻坡子
水洟をすゝるとき顔ゆがみたる 高浜年尾
水洟の日暮れの海に突き当たる 林田紀音夫
水洟や鈍の恋など捨てむまで 小林康治
水洟やどこにゐようと日は西に 八田木枯
水洟の定家しはぶく老の戀 筑紫磐井
水洟や孔雀の間より鳳凰ヘ 佐々木六戈
水洟や占ひの本すこし不快 加藤かな文
水洟を垂らし未来をかがやかす 堀切克洋

【水洟(中七)】
彼老いぬ水洟とめどなかりけり 高浜年尾
この家の子か水洟の立派なる 宇多喜代子
老のよろこび水洟の句を得たり 松村蒼石

【水洟(下五)】
鼻長きキリスト吾は水洟かむ 山口誓子
老人のかたちになつて水洟かむ 八田木枯

【その他の季語と】
水洟やどこも真赤な実南天 波多野爽波 
水洟をかめばサンタの声がする 仙田洋子


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