【冬の季語】薬喰

【冬の季語=三冬(11月〜1月)】薬喰

体力をつけるために、寒中に滋養になる肉類を食べること。「くすりぐい」と読む。

江戸時代、おおっぴらに肉食はできなかったが、養生のための薬ということで、実際には肉食が広く行われていた。猪肉を「山くじら」といい、鹿肉を「ぼたん」と称していたのも、そのため。利根川の水運を利用して、農民が鉄砲などで捕獲した農害獣の猪や鹿は江戸へと運ばれた。

江戸において、こうした肉類を提供する店のことを「ももんじ屋」と呼んだが、その他では、犬、狼、狐、猿、鶏、牛、馬などの肉も提供されていたという。


【薬喰(上五)】

【薬喰(中七)】

【薬喰(下五)】
祖谷深し一夜泊りの薬喰 長尾博
丹沢の嶺々のむらさき薬喰ひ  久重凛子
ゆつくりと命減りゆく薬喰 高橋悦男
首拭ひくちびる拭ひ薬喰 遠藤若狭男
仕掛罠またも見に行く薬喰 高木礼子
先代の写真の下の薬喰 柘植史子


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