季語・歳時記

【春の季語】猫の恋

【春の季語=初春(2月)】猫の恋

猫の発情期を擬人化して表現した春の季語。

恋猫」「恋の猫」よりも「恋」に比重がある。

〈猫の恋やむとき閨の朧月〉(芭蕉)のように、元禄期からある季語である。

〈星の下猫の恋また人の恋〉(桂信子)のように、どことなく「人の恋」との対比や類似がおのずから想像される季語でもある。


【猫の恋(上五)】
猫の恋老松町も更けにけり 日野草城
猫の恋月に嘯くとはいへど 川端茅舎
猫の恋シャワーの水が湯に変わる 佐藤友望

【猫の恋(中七)】
星の下猫の恋また人の恋 桂信子

【猫の恋(下五)】
山国の暗すさまじや猫の恋 原石鼎
地震やみしあとのしじまや猫の恋 深見けん二
対岸に波たちあがる猫の恋 杉山久子
浅はかな一夜もあらむ猫の恋 堀切克洋


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】



  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【冬の季語】白鳥
  2. 【秋の季語】末枯
  3. 【春の季語】春節
  4. 【夏の季語】夜の秋
  5. 【新年の季語】七種(七草)
  6. 【春の季語】山桜
  7. 【冬の季語】枯蓮
  8. 【夏の季語】ハンカチ

おすすめ記事

  1. 見てゐたる春のともしびゆらぎけり 池内たけし【季語=春灯(春)】
  2. 冬蟹に尿ればどつと裏返る 只野柯舟【季語=冬蟹(冬)】
  3. 夢に夢見て蒲団の外に出す腕よ 桑原三郎【季語=蒲団(冬)】
  4. 蓮根や泪を横にこぼしあひ 飯島晴子【季語=蓮根(冬)】
  5. 馬孕む冬からまつの息赤く 粥川青猿【季語=冬からまつ(冬)】
  6. 夏が淋しいジャングルジムを揺らす 五十嵐秀彦【季語=夏(夏)】
  7. 誰をおもひかくもやさしき雛の眉 加藤三七子【季語=雛(春)】
  8. 【冬の季語】花八手
  9. 秋めくや焼鳥を食ふひとの恋 石田波郷【季語=秋めく(秋)】
  10. いけにえにフリルがあって恥ずかしい 暮田真名

Pickup記事

  1. あれは伊予こちらは備後春の風 武田物外【季語=春の風(春)】
  2. 【冬の季語】節分
  3. 椿咲くたびに逢いたくなっちゃだめ 池田澄子【季語=椿(春)】
  4. 【結社推薦句】コンゲツノハイク【2022年8月分】
  5. 【連載】「ゆれたことば」#2「自然がこんなに怖いものだったとは」堀田季何
  6. 【秋の季語】終戦記念日/終戦日 終戦の日 敗戦日 敗戦忌 八月十五日
  7. 天高し風のかたちに牛の尿 鈴木牛後【季語=天高し(秋)】
  8. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第12回】高千穂と種田山頭火
  9. 神保町に銀漢亭があったころ【第118回】前北かおる
  10. 干されたるシーツ帆となる五月晴 金子敦【季語=五月晴(夏)】
PAGE TOP