季語・歳時記

【秋の季語】良夜

【秋の季語=仲秋(9月)】良夜

」が明るい夜。特に、中秋の「名月」の夜のことを指す。


【良夜(上五)】
良夜かな赤子の寝息麩のごとく 飯田龍太
良夜かな鱏の親子の舞ひ衣 鍵和田秞子
良夜かな独りになりに夫が逝く 渋川京子
良夜かな昔を今に糸電話  萩原空木
良夜かな人すれ違ひすれ違ひ 長嶺千晶
良夜かな天岩戸の開くかに  保田貴子
良夜なり額よりあをき角生ふる 池田瑠那

【良夜(中七)】
門とぢて良夜の石と我は居り 水原秋櫻子
妻癒えて良夜我等の影並ぶ 水原秋櫻子
早寝して良夜は月に任せたり 橋閒石
じゆんわりと良夜の潤むメンチカツ 澤田和弥

【良夜(下五)】
貝の肉氷にちぢむ良夜かな 能村登四郎
おさへねば浮き出しさうな良夜なり 平井照敏
山の蟇二つ露の眼良夜かな 森澄雄
銀の鰭ひしめき遡る良夜かな 眞鍋呉夫
でたらめの歌をうたうて良夜なり 麻里伊
獨り居といふこと子にも良夜かな 田中裕明
百畳の竹林ぬけし良夜かな 恩田侑布子
トロフィーを抱かせてもらふ良夜かな 金子 敦
ぬめぬめと鯉の触れ合ふ良夜かな  篠塚雅世
日暮里に近き西日暮里良夜 齋藤朝比古
猫の背にほこと骨ある良夜かな  齋藤朝比古
中古屋に天使の羽がある良夜 なつはづき
みづうみの芯の動かぬ良夜かな 岡田一実
幾ら何でも笛下手すぎる良夜かな 小川春休
一ページ又一ページ良夜かな 西村麒麟
ふくらめる封書を開くる良夜かな 堀切克洋
笑はせて泣かせて眠らせて良夜 江渡華子


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【秋の季語】萩/萩の花 白萩 紅萩 小萩 山萩 野萩 こぼれ萩 …
  2. 【秋の季語】秋分
  3. 【春の季語】建国記念の日/建国記念日 建国の日 紀元節
  4. 【夏の季語】ごきぶり
  5. 【新年の季語】松の内
  6. 【夏の季語】サマーセーター/サマーニット
  7. 【夏の季語】万緑
  8. 【冬の季語】梅早し

おすすめ記事

  1. まだ固き教科書めくる桜かな 黒澤麻生子【季語=桜(春)】
  2. 【冬の季語】冬うらら
  3. 【第24回】新しい短歌をさがして/服部崇
  4. 【短期連載】茶道と俳句 井上泰至【第10回】
  5. 夕立や野に二筋の水柱 広江八重桜【季語=夕立(夏)】
  6. つばめつばめ泥が好きなる燕かな 細見綾子【季語=燕(春)】
  7. 【春の季語】春風
  8. 野分吾が鼻孔を出でて遊ぶかな 永田耕衣【季語=野分(秋)】
  9. 見てゐたる春のともしびゆらぎけり 池内たけし【季語=春灯(春)】
  10. 小満の風や格言カレンダー 菅原雅人【季語=小満(夏)】

Pickup記事

  1. 眼前にある花の句とその花と 田中裕明【季語=花(春)】 
  2. 【秋の季語】草の花
  3. 両の眼の玉は飴玉盛夏過ぐ 三橋敏雄【季語=盛夏(夏)】
  4. 言葉がわからないので笑うてわかれる露草咲いてゐる 種田山頭火【季語=露草(秋)】
  5. 神保町に銀漢亭があったころ【第31回】鈴木忍
  6. 神保町に銀漢亭があったころ【第53回】しなだしん
  7. 花八つ手鍵かけしより夜の家 友岡子郷【季語=花八つ手(冬)】
  8. 【連載】歳時記のトリセツ(15)/茅根知子さん
  9. 蟷螂の怒りまろびて掃かれけり 田中王城【季語=蟷螂(秋)】
  10. 寝室にねむりの匂ひ稲の花 鈴木光影【季語=稲の花(秋)】
PAGE TOP