【秋の季語】水澄む

【秋の季語=三秋(8月〜10月)】水澄む

ことに透き通って見える「秋の水」のこと。川の流れでも湖でも、好天の日の水はまばゆい。

上五で「水澄むや」または「水澄みて」、下五で「水澄めり」として使われることが多い。


【水澄む(上五)】
水澄みて金閣の金さしにけり 阿波野青畝
水澄みて水澄みて人新たなり 星野立子
水澄むやこころの傷を詐りて  石原八束
水澄めり君なら月見うどんだらう 山田耕司
水澄むや水のやうなるビルの壁 長嶺千晶
水澄んで段差になつてをりし父 大石雄鬼
水澄むや細かき穴が紫蘇の葉に 岸本尚毅
水澄むや尻餅ついて女の子 岸本尚毅
水澄むや梯子の影が草の中 田中裕明
水澄むや盛りを過ぎし骨の音 仙田洋子
水澄むや脳をピアノにして眠る 山田露結
水澄むや澄めば澄むほど遠ざかる 二村典子
水澄むやふたつの言葉だけ持つて 宮本佳世乃
水澄むや日記に書かぬこともあり 杉田菜穂

【水澄む(中七)】
はじめより水澄んでゐし葬りかな 波多野爽波
水といふ水澄むいまをもの狂ひ 上田五千石

【水澄む(下五)】
わが影は人のかたちよ水澄んで 加藤かな文
水の底突けば固しや水澄める 岸本尚毅
ぽつかりと日当るところ水澄める 岸本尚毅
くらしてふしづかな言葉水澄めり 生駒大祐

【その他】
よく澄める水のおもては痛からむ  八田木枯
みづうながすみづの流れや澄みてをり 柳元佑太

【その他の季語と】
水澄むや目高こまかくなるばかり 森田峠


関連記事