【冬の季語=三冬(11〜1月)】湯豆腐
湯豆腐は、昆布を敷いた鍋に食べやすい大きさに切った豆腐と水を入れて火にかけ温めた料理です。
食べごろになった豆腐は、醤油や薬味などと一緒に食べるのが一般的。
質素かつシンプルながら滋味深い。
俳句では、久保田万太郎の〈湯豆腐やいのちのはてのうすあかり〉が、質素かつシンプルながら、やはり滋味深い。
【湯豆腐(上五)】
湯豆腐や常闇四半世紀なる 村越化石
湯豆腐の中に桜の映るとは 後藤比奈夫
湯豆腐や貧乏ゆすりやめたまへ 大木あまり
湯豆腐の四角四面を愛しけり 岩岡中正
湯豆腐の煮ゆるや誰も頼りなく 岩田由美
湯豆腐に瓦礫ののこる寧けさよ 青山茂根
湯豆腐の欠けたる角をすくひけり 五十嵐義知
湯豆腐の底だぶだぶの大昆布 相子智恵
【湯豆腐(中七)】
二年や獄出て湯豆腐肩ゆする 秋元不死男
伯父と父晝湯豆腐の火を圍み 宇佐美魚目
石のごと湯豆腐売らぬ塔頭は 百合山羽公
【湯豆腐(下五)】
【自由律】
ひとりで食べる湯豆腐うごく 山頭火