冬の季語

【冬の季語】納豆

【冬の季語=初冬〜晩冬(11月〜1月)】納豆

現在ではスーパーやコンビニで一年中売られているので季節感はいちじるしくゼロに近いが、かつては冬に「納豆汁」がよく食べられていたこともあり、冬の季語としていた歳時記もある。この場合の納豆は、よく蒸した大豆を藁づとなどに入れ、適温で納豆菌を繁殖させて作る「糸引き納豆」のことである。

晩夏の季語に「納豆造る」があるが、こちらは「大徳寺納豆」「塩辛納豆」など、蒸し大豆に麦こがしと麹を加え発酵、塩水に漬けて熟成させて、乾し上げてつくられるものである。

いずれにしても発酵食品である納豆は安価な健康食品であり、「納豆どきの医者いらず」とよばれ、風邪などが流行り始める前の秋から冬にかけて食べられていた。


【納豆(上五)】
納豆に冷たき飯や山の寺 村上鬼城
納豆や忍ぶる恋の古歌いくつ 上田五千石
納豆の糸伸ぶ船の無電室 D・J・リンズィー
納豆の泡噴く飯に載せしのちも 柳元佑太

【納豆(中七)】

【納豆(下五)】

【ほかの季語と】
まぎれなき雪の糸ひく納豆かな 久保田万太郎
納豆があれば朝や初嵐 石川桂郎
さへづりや納豆の粒みな可愛 藤田湘子


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