冬の季語

【冬の季語】追儺

【冬の季語=晩冬(2月)】追儺

立春」前日、すなわち「節分」に邪気を追い払う(中国の宮中に由来する)公的な儀式のこと。「儺」という字は「はらう」という意味がある。日本では「大儺」と呼ばれていたが、9世紀ごろから「追儺」と呼ばれるようになる。

旧暦では「新年」=「立春」であったため、「年中の疫気をはらう」という一年の節目的な意味合いが大きかった。

宮中での年中行事としての追儺は鎌倉時代以降は衰微してゆき、江戸時代には全く行われなくなった。いっぽう、熟語としての「追儺」や「鬼やらい」は宮中儀式を離れて、鬼を追い払う節分の行事全般の呼称として幅広く一般で用いられるようになった。俳句の季語としても、「節分」≒「追儺」として了解されている。


【追儺(上五)】
追儺豆打つや軽さをためらはず 渡部有紀子

【追儺(中七)】
金屏の隅に追儺のこぼれ豆 鈴木花蓑

【追儺(下五)】
裏口の闇なまぐさき追儺かな 三森鉄治


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 【春の季語】春の月
  2. 【新年の季語】歌留多会
  3. 【春の季語】春野
  4. 【冬の季語】悴む
  5. 【冬の季語】人参
  6. 【冬の季語】ラグビー
  7. 【春の季語】鴨引く
  8. 【冬の季語】毛糸

おすすめ記事

  1. ひら/\と猫が乳吞む厄日かな 秋元不死男【季語=厄日(秋)】
  2. 葛の花こぼれやすくて親匿され 飯島晴子【季語=葛の花(秋)】
  3. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第22回】東山と後藤比奈夫
  4. ミステリートレインが着く猿の星 飯島章友
  5. エリックのばかばかばかと桜降る 太田うさぎ【季語=桜(春)】
  6. しかと押し朱肉あかあか冬日和 中村ひろ子(かりん)【季語=冬日和(冬)】
  7. ひかり野へきみなら蝶に乗れるだろう 折笠美秋【季語=蝶(春)】
  8. 【#32】『教養としての俳句』の本作り
  9. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第39回】 青森・五所川原と成田千空
  10. 【クラファン目標達成記念!】神保町に銀漢亭があったころリターンズ【10】/辻本芙紗(「銀漢」同人)

Pickup記事

  1. 枯芦の沈む沈むと喚びをり 柿本多映【季語=枯芦(冬)】
  2. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【番外−3】 広島と西東三鬼
  3. 足指に押さへ編む籠夏炉の辺 余村光世【季語=夏炉(夏)】
  4. 【書評】山折哲雄『勿体なや祖師は紙衣の九十年』(中央公論新社、2017年)
  5. 茅舎忌の猛暑ひきずり草田男忌 竹中宏【季語=草田男忌(夏)】
  6. 【結社推薦句】コンゲツノハイク【2023年2月分】
  7. 【冬の季語】日脚伸ぶ
  8. 【冬の季語】寒晴
  9. 【春の季語】引鴨
  10. 一月や去年の日記なほ机辺     高濱虚子【季語=一月(冬)】
PAGE TOP