冬の季語

【冬の季語】雪兎

【冬の季語=三冬(11月〜1月)】雪兎

」でつくった「」である。


【雪兎(上五)】
雪兎援けず潮にわがそだつ 杉田久女
雪うさぎ柔かづくり固づくり 波多野爽波
雪兎雪被て見えずなりにけり 佐藤鬼房
雪兎きぬずれを世にのこしたる 宇佐美魚目
雪兎つくる電気がついてから 飯島晴子
雪兎なんぼつくれば声通る  飯島晴子
雪兎雪に戻して一睡す 飯島晴子
雪兎わが家に娘なかりけり 岩城久治

【雪兎(中七)】

【雪兎(下五)】
老いたれば作つてみたる雪兎 飯島晴子
郵便屋さんにも見せて雪兎 飯島晴子
不細工もよしよしと吾が雪兎 飯島晴子
ひきつゞき身のそばにおく雪兎 飯島晴子
耳立てて目もあちら向き雪兎 鷹羽狩行
今生に目玉をのこす雪兎 宇多喜代子
さらさらと雪にもどりぬ雪うさぎ 猫髭
うら若き掌にのせてきし雪兎 山本洋子
その鰥夫逃げられたるは雪兎 中原道夫
愛さるることが仕事や雪兎 櫂未知子
とどのつまり置いてきぼりや雪兎 大木孝子
教室に三十匹の雪兎 前田倫子
むつかしき愛をやさしく雪兎 遠藤由樹子
片耳のとばされてゐる雪兎 藤本夕衣
聞き耳を立たせてやりぬ雪兎 堀切克洋

【その他の季語と】
春寒し見離されたる雪兎 杉田久女


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