【夏の季語】蟻地獄

一度ハマったら抜けられません。成虫はウスバカゲロウ(薄翅蜉蝣)に。

歳時記の副季語には「あとずさり」「擂鉢虫」とはあるものの、用例は滅多に見かけません。


【蟻地獄(上五)】
蟻地獄修羅場へ砂のすこしづつ 伊藤通明
蟻地獄しづかにものを殺めけり 後藤比奈夫
蟻地獄しづかに昼は移りをり 有働亨
蟻地獄のぞきて揺れしもの乳房 中原道夫
蟻地獄均されてまた新しく 長谷川櫂
蟻地獄長屋のごとく並びけり 日原傳
蟻地獄まなこ落とさぬやう見入る 堀本裕樹

【蟻地獄(中七)】
高野暮れそむ蟻地獄すでに暗し 大串章

【蟻地獄(下五)】
あからさまにも並びたる蟻地獄  後藤比奈夫
大佛は知らずまはりの蟻地獄 渡辺純枝
富士塚に登る足下蟻地獄 吉田正克
雨だれの向うは雨や蟻地獄 岸本尚毅

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