神保町に銀漢亭があったころ

【クラファン目標達成記念!】神保町に銀漢亭があったころリターンズ【3】/武田花果(「銀漢」「春耕」同人)

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梶の葉句会のこと

武田花果(「銀漢」「春耕」同人)


 梶の葉句会を開いたのは、銀漢亭の二階にあった編集部や事業部の部屋で、銀漢創刊号を発刊するどさくさの中でした。

 他結社の方と新人も数人交えての小さな句会、男性が一人参加していましたが、女性十五人ほどが膝を詰め合わせての句会でした。

 主宰が毎月第一水曜日の午後早い目に出勤され、夜の準備中、長いときは小一時間の時間を割いて下さいました。

 三時半頃になると階下から今夜のメニューが想像される匂が漂い、音が聞こえてきました。

 お渡しした清記用紙を片手に、選句と講評のためエプロンをとった主宰が「やあ!やあ!」とにこやかな笑みで入って来られます。

 年増の女性たちのさえずりの中、主宰の厳しい選句、優しくも遠慮のない講評に悲喜こもごもの溜息が湧きます。

 主宰の息が近くに聞こえ、時にはその情熱も圧倒するばかり。古い清記用紙を見るとその場面が生き生きと蘇ってきます。

 閉店、コロナ禍と続き、しみじみその貴重な至福の時間が愛おしく思い出されます。

 二度と戻らない時間、どんなに私たちが恵まれ、励まされていたか。

 その時間は主宰自身の創作時間であったのかもしれないのですから。


【執筆者プロフィール】
武田花果(たけだ・かか)
「銀漢」「春耕」同人。


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