【春の季語=晩春(4月)】春の夢
春は気温があがり、うららかな一日に眠気を誘われる。
「目借時」や「春眠」という季語もあり、そこから「春の夢」が詠まれるようになった。〈春の夢さめて病ひののこりけり 細川加賀〉のように、どことなく愁を帯びた句も多い。
「春の夜の夢」や「朧夜の夢」などのように、ほかの季語と合わせて用いられることも多い。
【春の夢(上五)】
春の夢夜つづき煌たり疲れたり 中村草田男
春の夢濃紫を残しけり 高橋睦郎
春の夢魚からもらふ首飾り 井上たま子
【春の夢(中七)】
【春の夢(下五)】
切腹は白き色なり春の夢 長谷川秋子
玉手箱忘れて来たり春の夢 棚山波朗
はじめから赤い花なら春の夢 鳴戸奈菜
地卵に目鼻を入れし春の夢 嶋田麻紀
お歯黒となりて口開く春の夢 鳥居真里子
覚めて身のしなやかならず春の夢 片山由美子
【その他】
葱抜くや春の不思議な夢の後 飯田龍太
春暁や夢のつづきに子をあやし 上田日差子
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】