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【今月の1冊/今月の1句】


浅春のリボンをほどく指と指
『薔薇園を出て』矢野玲奈
2024年8月18日 神奈川県・正午
太陽/獅子座、月/水瓶座、水星/獅子座、金星/乙女座、火星/双子座、木星/双子座、土星/魚座、天王星/牡牛座、海王星/魚座、冥王星/水瓶座
すべすべとした手触りが美しい『薔薇園を出て』は、植物柄の布製の装丁。一冊ごとに少しずつ柄の出方が違うやわらかな表情とは裏腹にたくさんのハードアスペクトを持つチャートです。
星占いでは星と星が作る特定の角度(アスペクト)を読み解いてゆくのですが、角度によってハードアスペクトとソフトアスペクトに分けられています。ハードアスペクトはインパクトが強くコントロールしづらい角度。一方、ソフトアスペクトはスムーズでコントロールしやすい角度と考えます。
『薔薇園を出て』は最もインパクトが強いと言われるハードアスペクトのコンジャンクション(0度)が3つあります。まず、太陽と水星の0度。これは感じたことをスムーズに言語化できる感じ。それから、木星と火星の重なりはエネルギッシュな行動力と冒険心をイメージさせますし、月と冥王星は破壊的な創造力が思い浮かびます。そして、そのどれもがオーブ3度以内のかなりぴったりとした重なりです。西洋占星術でいうオーブとは「角度の許容範囲」のこと。これはアスペクトがずれていても影響があると考えられている範囲です。おおよそ±6度~±8度くらいまでとされていて、オーブが小さければ小さいほど強く表れるとされます。
特に木星と火星のコンジャンクション(0度)は、金星と土星のオポジション(180度)と組み合わさってTスクエアという複合アスペクトを作ります。この形は非常に強いエネルギーを持つといわれていて、強い意志と行動力、それにチャレンジ精神が加わります。このように力強く緊張感のあるアスペクトをいくつも持っているのにどこかあっけらかんとした明るい読み心地は、オポジション(180度)に金星が絡んでいるからでしょうか。オポジション(180度)もハードアスペクトなのですが、金星の管轄は、愛や美しいもの、そして楽しいことなのです。金星と土星の180度には抑制が効かないという意味があります。例えば、お菓子を食べすぎてしまうというように出る場合もありますし、研究に没頭して成果を出すという表れ方をすることもあります。そして、その止められない勢いは0度で重なった木星と火星の冒険心に集約していくのです。
浅春のリボンをほどく指と指
頂上にある蝶々の形から伸びるリボンは、向かい合った端と端がぎゅっと引っ張っられていてオポジション(180度)の緊張感とそっくりです。そのリボンをほどくと、ふわっとした滑らかな細い布に戻って、包まれていたものが一斉に溢れ出します。何が包まれていたのかはわかりません。けれど、春はもう来ています。
(岸田祐子)
【執筆者プロフィール】
岸田祐子(きしだ・ゆうこ)
「ホトトギス」同人。第20回日本伝統俳句協会新人賞受賞。
↓岸田祐子さんの「ハイクノミカタ」(2025年4月〜8月連載)は、
バスケットボール漫画の金字塔『SLAM DUNK』に沿って俳句を読む企画🏀

とんばうの集ふあたりに加はる子 矢野玲奈
