【秋の季語=仲秋(9月)】風の盆
「おわら風の盆」のこと。富山県富山市八尾地区で、毎年9月1日から3日にかけて行われている富山県を代表する行事である。
毎年9月1日から3日にかけて、町中のぼんぼりに淡い灯がともり、揃いの法被や浴衣姿に編笠をつけた踊り手が、三味線、胡弓の地方にあわせ踊り、町中を流し歩く。風の盆が行われる9月1日は、「立春」から「二百十日」にあたり、「台風」シーズンと重なる風の災「厄日」とされてきたことから、農作物を損傷する風の災害がおこらないことを願う行事として「風の盆」という呼び名が付けられたと言われている。
【風の盆(上五)】
風の盆水苔の香のうぐひ酒 細見綾子
風の盆虚ろな風の朝が来し 山田弘子
風の盆胡弓はときに子の声を 有馬朗人
風の盆ひとつ遅れて子の手振り 石寒太
風の盆目よりも耳の聡かりし 松下道臣
風の盆胡弓に混じる水の音 藤田駒代
風の盆だれのものでもない女 正木ゆう子
【風の盆(中七)】
【風の盆(下五)】
少年の薄化粧して風の盆 木田千女
町裏の灯なき吊橋風の盆 野澤節子
月の面に風の彩ある風の盆 岡本眸
まつすぐに差す手のあわれ風の盆 鈴木六林男
川瀬吹く風のかなたの風の盆 友岡子郷
この小さき町へ町へと風の盆 稲畑汀子
どこまでもついて行きたく風の盆 稲畑汀子
胡弓消え闇立ち上る風の盆 鈴木光子
笠ぬちの翳に面や風の盆 武田佐自子