【夏の季語=初夏(5月)】更衣
冬から春にかけて着用した厚手の服を仕舞い、薄手のものを出してくること。
日常的には「衣替」と書くことが多いが、季語としては「更衣」とすることも多い。歴史的仮名遣いだと「ころもがへ」。
昔は四月朔日と十月朔日を更衣の制服のある学校では、6月初旬に夏服へ、10月初旬に冬服へ衣替えすることが多い。
【更衣(上五)】
更衣してメキシコの土曜朝 星野立子
更衣畳の上をとりちらし 草間時彦
更衣寄席へ行く日を胸づもり 藤田湘子
更衣こころの山河ひとつ越え 鷹羽狩行
【更衣(中七)】
女房等更衣して忌に籠る 高野素十
亀を飼ふ衣更へたる一家族 野澤節子
【更衣(下五)】
すがたみにうつる月日や更衣 横井也有
まだ少し残る恙や更衣 高野素十
草の葉に影の顕ちたる更衣 鷲谷七菜子
いくばくの余命を得たり更衣 大野林火
鳥不意に人語を発す更衣 有馬朗人
まだ風に馴染めぬ腕更衣 堀内清瀬
なんとなく生きてゐたいの更衣 攝津幸彦
怖づ怖づと手術の痕を更衣 伊藤伊那男
力瘤あつてもなくても更衣 浅沼璞
めがね屋のめがねまぶしい更衣 木田智美