【秋の季語】九月

【秋の季語=仲秋(9月)】九月

残暑」も落ち着いて、そろそろ涼しくなってきてほしいころ。

暑さ寒さも「彼岸」まで、とは言うものの、実際にはまだまだ暑い日がつづくこともある今日のこのごろ。

台風」がやってくることもあります。


【九月(上五)】
今朝九月月草樹みづから目覚め居て 中村草田男
九月の教室蟬がじーんと別れにくる 穴井太
九月来る鏡の中の無音の樹 津川絵理子

【九月(中七)】
黒揚羽九月の樹間透きとほり 飯田龍太
父の頭が見えて九月の黍畑 宮田正和
いちじくも九月半ばの影つくる 桂信子
牛憂う九月の河へ尻を向け 金子兜太
生まれて来たか九月に近い空の色 平田修
永遠に下る九月の明るい坂 今井聖

【九月(下五)】
松の幹みな傾きて九月かな 桂信子
茶畠のひかり手強き九月かな 飯島晴子
陶枕のかたきを得たる九月かな 安住敦
魚卵たべ九月些か悔いありぬ 八田木枯
脇腹に鶏を抱へてゆく九月 柿本多映
出奔の男にみえる九月の木 宇多喜代子
生國の魚こっそりと来る九月 宇多喜代子
物捨つることに始まる九月かな 中野智子
椋の木の蔭の明るき九月来る 西村和子
江ノ島のやや遠のける九月かな 中原道夫
さざなみのからだにおよび沼九月 鳴戸奈菜
貝がらの九月の雨を溜めてをり 黛まどか
革命を起こすに半端なる九月 櫂未知子
すれ違ひゆける客車の九月かな 山西雅子
一滴の水に映つてゐる九月 山岸由佳
吠える犬うんうんさうね九月の朝 小川楓子


関連記事