【秋の季語=初秋(8月)】葛の葉
「葛」の葉っぱのこと。
〈秋たつやはじめて葛のあちら向 千代尼〉のように、秋になるとわしゃわしゃと空間を覆い始める。
裏が白っぽいために和歌で「恨み」(=裏見)とかけて詠まれてきた。
〈葛の葉やどちらむきても秋の風 支考〉のように、「秋風」に靡いているのもまた、よく見られる光景である。
【葛の葉(上五)】
葛の葉をふみ返したる別哉 正岡子規
うらみ葛の葉風怨みつゝ谿白め 能村登四郎
【葛の葉(中七)】
曉けるより葛の葉がくれ燈籠泛く 飯田蛇笏
牛頭没し葛の葉太く裏返り 川端茅舎
伊豆を辞す葛の葉繁る海の駅 山口誓子
借金や葛の葉厚き小屋通る 相子智恵
【葛の葉(下五)】
【ほかの季語と】
人の居て葛の葉ゆれぬ木下闇 前田普羅
かたつむり露の葛の葉食ひ穿ち 川端茅舎