【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年4月分】


前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。

また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」、4月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。絶賛お待ちしてます!


コンゲツノハイク 2025年4月
(2025年3月刊行分)

今月の参加結社☞「秋草」「伊吹嶺」「稲」「円虹」「海原」「火星」「樺の芽」「河」「銀化」「銀漢」「澤」「秋麗」「青山」「蒼海」「鷹」「たかんな」「橘」「田」「南風」「濃美」「ふよう」「ホトトギス」「街」「森の座」「雪華」


「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年4月号(通巻184号)>
選ばれてはうれんさうは緑色 山口昭男
以和為貴紫雲英草 舘野まひろ
ものの芽や灯して貴船暗くあり 山口遼也
惜別の野焼煙となりにけり 鬼頭孝幸
チューリップ挿して花瓶の口余る 水上ゆめ
紙落とすやうなしづけさ干菜汁 松田晴貴
凍滝にじろりと顔を見られたる 高橋真美


「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年3月号(通巻第321号)>
喰積の平たきものへ箸伸ばす 河原地英武
初夢に母ゐて父は見当たらず 栗田やすし
おでん酒先祖は公家といふ男 加藤剛司
角打ちの机の隅に福達磨 伊藤範子
二人行く影相寄らぬ寒さかな 下里美恵子
聖夜ミサばらばらに来てひと家族 矢野孝子
紫の冬薔薇移す深く掘り 藤井広夢


「稲」(主宰=山田真砂年まさとし【2021年1月創刊】
<2025年3月号(通巻27号)>
白息を霧に重ねて競歩の子  北原昭子
走り蕎麦きれいな風の吹く信濃  小見戸 実
鴨飛んで大きな腹のあらはなり  飛田小馬々
小鳥来るチンと飛び出るトースター  深野 怜
目貼りして昔語りを聞く夜かな  安藤裕子
スポーツの日や靴箱に靴あふれ  大坪正美
猫しゆんと鼻筋に傷雪の空  相馬ゆう子


「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和7年4月号 第364号>
立冬ややせ細りたる庭の影  大久保公貴
ゆびきりの小指とけだす雪女郎  原道子
オルゴール枕辺に鳴る寒夜かな  大西美智子
厳寒や祈る五時四十六分  鈴木ひとみ
確と在るさぬき餡餅粥柱  佐々木宏風
毛糸編み迷路に入りてあみ直し  小林光子
獅子舞の思ひのほかに老いし手に  新井美治子


「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年3月号(第66号)>
冬はじめ重たいものの影は濃く 有栖川蘭子
宇宙まで飛ばぬロケット囮鮎 植竹利江
母と子とネズミの絵本栗名月 田中信克
モノクロの厨に秋のバナナかな 福田博之
風のこる耳の辺りや枯野駅 水野真由美
性別欄に「すすき」と書いて揺れてます 宮崎斗士
約束の旅へひとかたまりの霧 横地かをる


「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年3月号(通巻1022号)>
立春の空へ繰り出すジャグリング 山尾玉藻
朱のさして白菊は枯早めたる 大山文子
絵襖の鶴にひそかな脚運び 蘭定かず子
枯桜濡れ青空のあらたなる 山田美恵子
はにかむといふふるへやう冬桜 坂口夫佐子
バス揺るるたびねんねこの笑ひ声 大内鉄幹
縁下に忘じゐし毱抱く青女 湯谷良


「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<樺の芽第54巻第4号(通巻581号)>
冴え返る廊下の奥の非常口  粥川 青猿
結束の隅から離脱しずり雪  江波戸 明 
地震あらば冬眠の蛇軋むのか 鎌田 文子
正月や魚の尻尾捨てました  松原 静子
人生の重荷さらりと年の豆  中島 土方
七草や三ツたりない粥をたく 高橋 民女
腕組みて思案に余る寒日和  須田 としお


「河」(主宰=角川春樹)【1958年創刊・東京都新宿区】
<2025年3月号(通巻796号)>
手から手へ冬のりんごを渡しけり  角川春樹
侘助のひとつを見つけ三つめも   淵脇護
ポインセチア心療内科の椅子にをり 笹川昌子
海底の山河かがやく去年今年    石工冬青
寒夕焼街のジラフが燃えてゐる   伊豆郁音
冬うらら仮面のやうな猿の尻    杉村美紗
ジングルベル神は成層圏にゐる   荻原多香子


「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年4月号(通巻319号)>
煮びたしのやうな父母春眠し 大槻寿一
丹頂の朱を消してゆく吹雪かな 橋本喜夫
石筍に雫一粒年新た 山縣忍
蹙(しじ)まひて雪のなぞへを跋渉(ふみゆか)む 三枝棗
三寒や明日は四温の畑に出る 玉井葉子
着膨れの列神前へ神前へ 佐藤由梨
セーターはこころを編んでくれしもの 本松放散



銀漢(ぎんかん)」(主宰=伊藤伊那男(いなお)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年4月号(通巻172号)>
屋敷神まで五六歩の雪を掻く 伊藤伊那男
地球儀のどこが最果て日脚伸ぶ  森羽久衣
冬滝の時の止まりし虚空かな  髙城愉楽
水鳥の褥に淡海広すぎる  鈴木てる緒
蒟蒻のふるまひの湯気初閻魔  辻本理恵
闇は黒ばかりに非ず滝氷る  本庄康代
三井寺や湖に脚置く冬の虹  鈴木てる緒


「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<2025年3月号(通算404号)>
過去帳のしんがりに兄梅の花  長岡 静子
五百羅漢五百の淑気湛へたり  冨士原康子
卯の杖を飾り八畳安らぎぬ  浅川 悦子
猟銃を担ぎ男ら山に入る  髙橋美智子
ねんごろに畳んで捨つる古暦  福原 正司
百歳の迫る一人の日の始  入江  緑
賽銭に見合ふ願掛け初詣  松谷 忠則


「櫟」(主宰=江崎紀和子)【1993年創刊・愛媛県東温市】
<2025年4月号(通巻379号)>
容疑者は黙秘刑事は懐手 武田正
鬼の首取つて逃げたるラガーかな 合志伊和雄
とりあえずよそ行きで書く初日記 大森眞由美
死にはせぬ持病三つ四つ冬菫 向井由利
天と地の縫い目にほつれ冬田道 近藤幽慶
湯豆腐やアリバイあつけなく崩れ 杉野祐子
溜息の兄は未婚や日の初め 武田柳蛙


「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2025年3月号(通巻300号)>
島神楽鯛釣りあげし息あらし 小澤實
尉面の歯より息吹や今朝の冬 村戸弥生
雪礫敵より十やひとつ投げ 山本肯三
アイスバーンにトラック横転高速道路封鎖せよ 山口刃心
技術的特異点【シンギュラリティ―】近しと男みかん剝く 笠井たかし
紅白の風呂敷巻きや今年酒 矢嶌俊缶
ちやうど地震があつた時間ね雑煮炊く 本村早紀


「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年3月号(通巻175号)>
埋め立てて海遠ざかる藪椿 藤田直子
目覚めてはこの世の枯につきあたる 東蕾
輪島塗の軍配返る初相撲 田沢健次郎
初旅や廃線となる駅に降り 藤澤抱一
数へ日や商家に残る江戸言葉 後藤菊子
幸福の木に水を遣り初仕事 堀米義嗣
外套を替ふ恋人を替へしごと 河瀬久美


青山せいざん」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年3月号(通巻508号)>
天恵の一句を得たり初句会   山崎ひさを
弥次郎兵衛となりて春田の畦を来る   しなだしん
空涼し大きな葉裏見せるとき  井越芳子
青空へ竿を伸ばして柿をもぐ  畠野旬子
河童淵の際から枯野はじまりぬ  山本洋子
人の目の鳥の目の先烏瓜   東畑孝子
安土城跡のきざはし冬の雨  細野和子


蒼海そうかい」(主宰=堀本裕樹)【2018年創刊・東京都新宿区】
<27号>
放生会吊られし亀の藪睨み 中村たま実
道々に「神は見ている」蚯蚓鳴く 中村想吉
蓑虫の顔でて蓑をずり上ぐる 千野千佳
初雪や人と語らふ楽しさに 福田健太
ゆふぐれの鹿の眼のすでに夜 犬星星人
灯を容れて霧の粒子の流れけり 杉本四十九士
どんぐりのぐりのあたりを撫でてみる 朝本香織


「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年3月号>
集合場所あれか着ぶくれの一群 小川軽舟
薄氷や一人に生死一度づつ  細谷ふみを
やどかりやペットボトルの蓋を家  髙柳克弘
スイートピー足裏あらはに妻眠る  原信一郎  
穭田に雨降る心ゆるびかな  今野福子
貌ぬぐふ猫の利き手やお元日  亀田蒼石   
きさらぎの風にさらすや杖と骨  内海紀章


「たかんな」(主宰=吉田千嘉子)【1993年創刊・青森県八戸市】
<2025年3月号(通巻387号)>
この星のひとすみ灯し朳摺る 吉田千嘉子
どか雪やしどろもどろの五能線 草野力丸
数へ日といふ一日の減り易し 難波政子
ストーブの薬缶のほかに声のなし 鈴木興治
着ぶくれや笑つてをればすむ話 小野寺和子
解けゆく雲にはじまる夕焼かな 小泉靜子
着岸の漁師どら声雪まじり 南美智子


たちばな」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2025年4月号(通巻568号)>
風花の睫毛にふれて日のにほひ 干野風来子
遺されていま落椿二つ三つ 尾野恵美
ぽつぺんを吹く青天の山鳩へ 松井努
抱かれ来る寒九の子犬くふと鳴く 五月女叡子
折紙の蛇のからまる松飾り 馬場まさ子
糸弾く母似の指や縫ひはじめ 鈴木清子
俎板と砥石干さるる女正月 小林弘和


「田」(主宰=水田光雄)【2003年創刊・千葉県市川市】
<2025年4-5月号(通巻259号)>
この顔で今年はゆくぜ初鏡 清水余人
日あたりのよき道帰る破魔矢かな 上野犀行
前髪が春風となる会釈かな 草子洗
御降りのあとの土の香日差しの香 佐藤千恵子
漂泊を分けあふ冬野行き切符 間 恵子
一年といふ一瞬や冬に入る 渡部あさこ
セーターにひとのかたちの静電気 橘 花優


「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2025年3月号(通巻325号)>
数へ日や使ひべりした鍬洗ひ 山口美智
除夜の鐘僧の捨て身の百八つ 籠田幸鳴
革手套男といふ字角張りぬ 福井さま子
観世音拭ふ湖国の年用意 斉藤雅はる
古日記介護日誌となりにけり 田中国太郎
熱熱の焼芋包む飢餓の記事 田嶋しゅうじ
ふぐ刺しや板場の技の透きとほる 髙野紀子



「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年4月号(通巻977号)>
風花や楮の束の蒸し上がる 寺井鈴代
源左衛門と名乗りし先祖梅ほつほつ 岡辺明代
まだ薄く淑気はありぬ檀の実 板倉ケンタ
鰤一本さばいて帰る賀客かな 稲葉守大
バスを待つ背に紅椿じんわりす 村井丈美
白息のかかりて生まれたての蜘蛛 野村茶鳥
大筆に墨吸ふ力初硯 伊藤映雪


「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2025年4月号(通巻193号)>
家中の時計の狂ふ田螺和 渡辺純枝
ようず湿りや放哉の旧居跡 関谷恭子
一葉忌床屋質屋も死語となり 佐々木珠美
女湯に声かけて出る近松忌 石井雅之
二人旅風邪のふたりとなりにけり 大森陽香
失せしもののひとつにピアス年果つる 泉信子
双六の絵にも越ゆべき幾星霜 大沼明子


「ふよう」(主宰=千々和恵美子)【2005年創刊・福岡県遠賀郡】
<2025年3月号(通巻121号)>
北窓を開きて沖を引き寄する  千々和恵美子
巣籠りの嘴の先より一雫  安倍真理子
悴みと違ふ余寒の指の冷え  芝山義和
一人分ほどの日向や冬蒲公英  森 和子
日を乗せて動き出したる薄氷  垣内かをる
諍ひの後ストーブに迎へられ  平野静子
水仙に静かな日々の過ぎにけり  石松梅子


「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年4月号(通巻1540号)>
花冷に蕾の固き一枝かな 稲畑廣太郎
星空へ掲げて帰る酉の市 松村史基
約束は皆取りやめて昼寝かな 譽田文香
行き止まる鴨のターンの早さかな 伊東法子
山茶花の毎日散つてゐる通り 岸田祐子
叩き弾くスパニッシュギター紅葉散る 吉岡簫子
一本の道を守りて年尾の忌 池末朱実


「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<NO.172>
雪残る耳の形の校庭に       今井聖
笑ふたびウソと言ひける寒夜かな  金丸和代
立春大吉煎餅を割つて食ふ     北大路翼
お喋りな母を洗ひし初湯かな    木村厚子
雨情忌の万年筆を出づる青     蜂谷一人
夕桜遺品に指紋夥し        林 楓
ウイッグの箱に仕舞ひし朧月    藤尾ゆげ


「森の座」(代表=横澤放川)【2017年創刊・東京都文京区】
<2025年3月号>
歳晩店頭鰈鮃とそむきあひ 横澤放川
追ふやうに追はるるやうに初雪来 中村弘
あらたまの松こそ主役能舞台 田山康子
関東煮在所のこと噤み喰ふ 渡辺舎人
さざんかにすこしおしめり一葉忌 平井靜代
音のなき刻を漂ひ雪ばんば 田辺ゆかり
柿膾ほどよく夫のひなた口 橋原涼香


「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2025年4月号>
春暁やひとに眠れぬ贅のあり 橋本喜夫
誰も降りぬ梯子吹雪の空にあり 鈴木牛後
オリオンを私有地にしてしまひけり 島崎寛永
空谷とおもふ人差し指に胼 村一草
寒の水業を腸まで流す 小泉晃治
春を待つ夜の数ほど詩を書きて 五十嵐秀彦
湖凍ててアイスバブルは星の息 青山酔鳴


【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年3月20日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年3月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年3月25日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/

【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年3月31日
*対象は原則として2025年3月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください
◆配信予定=2025年4月5日
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/

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