【結社推薦句】コンゲツノハイク【2025年9月分】


前月に刊行された俳句結社誌・同人誌の最新号から推薦句を送っていただき、一覧として掲出するコーナーです。毎月、募集していますので、ご協力いただける俳誌・結社があれば、このページをご覧ください。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。

また、このページの掲出句から、読者の皆さんの「推しの一句」(未来の名句となるかも)を選んでご鑑賞いただく読者参加型「コンゲツノハイクを読む」、9月20日締切です。ご投稿は、こちらのフォームからお願いします。絶賛お待ちしてます!


コンゲツノハイク 2025年9月
(2025年8月刊行分)

今月の参加結社☞「秋草」「いには」「いぶき」「伊吹嶺」「炎環」「円虹」「海原」「火星」「かつらぎ」「樺の芽」「銀化」「銀漢」「澤」「秋麗」「青山」「鷹」「たかんな」「天穹」「南風」「濃美」「noi」「ホトトギス」「街」「雪華」「楽園」


「秋草」(主宰=山口昭男)【2010年創刊・兵庫県神戸市】
<2025年9月号(通巻189号)>
一匹の金魚のために換へる水 山口昭男
北山と涼しく山を一くくり 橋本小たか
ジーンズに絵の具の匂ひ時鳥 舘野まひろ
サンドレスマルーン色の電車へと 村上瑠璃甫
盆梅に湯気のちひさく当たりけり 西江友里
うたた寝の唇動く夕立かな 田口茉於
牛刀のせつなき光青嵐 山口遼也


「いには」(主宰=村上喜代子)【2005年創刊・千葉県八千代市】
<2025年9月号(通巻204号)>
木と紙の家に素足をよろこばす 村上喜代子
麦秋やドローンが兵器に変はると 坂本茉莉
亡き人は無き人でなし合歓の花 原田 功
噴水の天辺もつともはしやぎたる 梅津紀子
紙の家用意されたる御器かぶり 村越陽一


「いぶき」(共同代表=今井 豊・中岡 毅雄)【2018年7月創刊・兵庫県明石市】
<2025年8月号(第29号)>
ABの距離を春とす理髪店 今井豊
ひととあふことに疲れて秋燕 中岡毅雄
微かなる風の描ける花の波 小池絹子
切るほどの爪なく春をもて余す 有瀬こうこ
今朝の夢だれとはぐれて花馬酔木 森本晋
ジョギングの人人人や若楓 名本沙世
象きつと好きこの花もあの花も 水野大雅


「伊吹嶺」(主宰=河原地英武)【1998年1月創刊・愛知県名古屋市】
<2025年9月号(通巻327号)>
また一つ入道雲に腕が生え 河原地英武
平和宣言かき消す大型扇風機 栗田やすし
短夜やドライマティーニあと一杯 菊地富士子
天窓を鳩覗きゐる聖五月 加藤剛司
小満や酔へば会ひたき人ばかり 柴田洒落
注射待つ犬にバナナの皮を剥く 神保亜弥美
夏きざす吊広告の槍ヶ岳 松本和子


「炎環」(主宰=石寒太)【1989年創刊・埼玉県志木市】
<2025年8月号(通巻542号)>
楸邨の碑に辺せむ夏はじめ 石寒太
笹百合や飛騨にひつそり円空仏 森豊子
戦争ドラマ氷菓の棒を噛みながら 百瀬一兎
晩成の晩とは何時や夕薄暑 鈴木正芳
人生へ補助線ひとつ大南風 鮫島沙女
遠吠えのやうなサイレン明易し 小関由佳
無印を着て無印の更衣 永田寿美香


「円虹」(主宰=山田佳乃)【1995年創刊・兵庫県神戸市】
<令和7年9月号 第369号>
十薬や舌の裏診る漢方医  今野響
黴の花古墳の壁の星座群  野口嘉彦
大阪の川の色して梅雨の雨  門脇重子
客去りし網戸の風に寛ぎぬ  木下直子
大皿に鎧武者めく蝦蛄の列  東尚良
夏木立それぞれ名札つけゐたる  植村八郎
初鰹番茶を注ぎ漁師飯  住谷幸代


「海原」(代表=安西篤)【2018年創刊・千葉県市川市】
<2025年7・8月合併号(第70号)>
もう影の濃く曳かれあり蝶の道 和緒玲子
うろうろと君のいた街つちふるよ 遠藤路子
八十八夜アルパカ飼育員募集 大渕久幸
春の闇いつも踊れぬままにゐる 木村寛伸
八月やにんげんがつくりしひかり 小林育子
指切りのもう古い指しゃぼん玉 三枝みずほ
包帯解くからだの奥の蜃気楼 宙のふう


「火星」(主宰=山尾玉藻)【1936年創刊・大阪府大阪市】
<2025年8月号(通巻1027号)>
翅音が翅音を呼ぶ海紅豆 山尾玉藻
竹林を日照雨かけゆく更衣 大山文子
ゴールデンウィーク高らかに米を磨ぐ 蘭定かず子
真鰯の空を飛びさうなる秘色 五島節子
能管の高音に透きし蛇の衣 山田美恵子
歌声の少しはづるる日向水 湯谷良
万緑や水平に跳ぶ膝頭 坂口夫佐子


「かつらぎ」(主宰=森田純一郎)【1929年創刊・兵庫県宝塚市】
<2025年8月号(通巻1148号)>
万博を浮かべ大阪湾薄暑 森田純一郎
美しく砂の磨かれ蟻地獄 平田冬か
万物の音の中なる遠雉子 村手圭子
呼び鈴を押して暫く薔薇を見る 清水洋子
春泥を詫び正客の席につく 田島かよ
沼島行き臨時便出る祭かな 前川 勝
更衣いま改札を抜けにけり 森田教子


「樺の芽」(主宰=粥川青猿)【1967年創刊・北海道帯広市】
<樺の芽第54巻第9号(通巻586号)>
八月のザクりと落とす紙の耳     粥川 青猿  
雲の峰命脈保つ水あらん      江波戸 明
暑き日を拡げてをりぬ砂浜は    疋田 英子  
編み目緩む父の窪みや寝籐椅子   山田 倫一郎             
明日また全力で行こう大花火    伊藤 朝子
打ち水すわだかまりまだ消えぬまま 岡島 貴子
雷の最後に小さな捨て台詞     徳地 好子



銀漢(ぎんかん)」(主宰=伊藤伊那男(いなお)【2011年創刊・東京都千代田区】
<2025年8月号(通巻176号)>
明易し高野泊りと聞けばなほ 伊藤伊那男
風通し良き者同士夏料理  久保園和美
草笛の巧より拙が好まるる  谷岡健彦
簾して世へのかかはりほどほどに  笠原祐子
黒羽に翁留めし走り梅雨  塚本一夫
噴水の本閉ぢるごと止みにけり  深津博
陶枕の唐子と夢に遊びける  中山桐里


「銀化」(主宰=中原道夫)【1998年創刊・東京都港区】
<2025年9月号(通巻323号)>
彼の川に石抛るべく帰省せり 亀田憲壱
あめんぼの少しうしろの水の皺 峯尾文世
桃紅の墨の一閃涼しかり 寺尾亜真李
まくなぎを道連れにする他はなし 大野泰雄
冷や汁は冷や飯の職想起さす 三浦努 
風捉ふ一瞬汗の行きどころ 浅田菊枝
一人づつ席をずらして鱧の皮 仁平よしあき


「雲の峰」(主宰=朝妻力)【1989年創刊・2001年結社化・大阪府茨木市】
<雲の峰2025年8月号(通算410号)>
鷺容れぬ高さに青田そよぎけり  朝妻  力
逃げきつてふり向いてゐる瑠璃蜥蜴  酒井多加子
薫風やみな引分けの泣き相撲  木村てる代
軽暖やまなぶた重き石の亀  中谷恵美子
胎動の記憶も形見門火焚く  糟谷 倫子
田水張り孤城の如き一軒家  小薮 艶子
地に近き葉裏にやどる梅雨の蝶  佐々木一夫


「澤」(主宰=小澤實)【2000年創刊・東京都杉並区】
<2025年8月号(通巻305号)>
自画像抽象青がちにして寒暮に描く 小澤實
疎開地に春抑留の父帰る 大木圭之介
アイヌ兵慰霊の「南北の塔」沖縄忌 吉田邦幸
逃げ水のかなた戦車かこちら向き 川又憲次郎
はなびら地雷散らばる丘や麦の秋 松井宏文
御輿女子の肩座布団やキティ柄 市川真冬
産休明けブラウス母乳に濡らす春 戸田典々


「秋麗」(主宰=藤田直子)【2009年創刊・神奈川県川崎市】
<2025年8月号(通巻179号)>
縛らずにおく朝顔の遊び蔓 藤田直子
ボレロ今終章窓をつばくらめ 竹下白陽
ちむぐりさと小さくつぶやく沖縄忌 丹治美佐子
海底はあの日のままに沖縄忌 茂木涼子
晶子忌や青年戦地へ征くドラマ 近藤さやこ
秞子忌や夢のつづきの濃あぢさゐ 酒井胡蝶
フィヨルドに白き水脈引く白夜かな 南出ひろみ


青山せいざん」(主宰=しなだしん)【1982年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年8月号(通巻513号)>
背の高さ胸の高さに赤とんぼ  山崎ひさを
水からまつてあさがほの動きだす   しなだしん
面面の懸崖菊でありにけり  井越芳子
河のある町の日暮れの団扇かな  水谷由美子
金盞花真砂女の海のおだやかに  山本洋子
扇ぎつつ猫をからかふ団扇かな  入部美樹
わが願ひ七夕笹の葉に隠れ  坂東文子


「鷹」(主宰=小川軽舟)【1961年創刊・東京都千代田区】
<2025年9月号>
変らないなと老人同士鱧食ひに 小川軽舟
生き鮎の鰓を貫く笹青し  加賀東鷭
さん付けの神や仏や田水沸く 桐山太志
舟渡御の白輿波をかぶりけり 氣多驚子
飛行機になりたかつた子夏の雲  亀田浩世  
遠き日の伝言板やソーダ水 阿部けい子
バリケードテープ二重や梅雨の家  米熊鬼子 


「たかんな」(主宰=吉田千嘉子)【1993年創刊・青森県八戸市】
<2025年8月号(通巻392号)>
アリバイを曳きずりてゆく兵士蟻  草野力丸
筍を包みて尖る新聞紙  野村英利
聖五月犬が貌出すバスケット  黒田長子
母の日や祝に届く米五キロ  髙田美津子
藁焼きかつを瞬時に捌くいごつそう  小川三胡
目力に吸ひ込まれさう鯉幟  星私虎亮
病室へ届かぬ葉ずれ花は葉に  小笠原イク子


たちばな」(主宰=佐怒賀直美)【1978年創刊・埼玉県久喜市】
<2025年9月号(通巻573号)>
ひとり居のガラス戸に触れ凌霄花 中山明代
真つ直ぐに夕虹へゆく山羊の列 吉田孝子
子の頰の飯粒食みて柚子の花 水島昌恵
形代の文字にめがけて息かくる 板倉ひろみ
下野の秋づく里の風の色 平野正男
太陽の色に刈らるる麦の秋 鈴木スイ子
龍神祭の龍の尻尾について行く 志野さくら


「天穹」(主宰=屋内修一)【1998年創刊・東京都渋谷区】
<2025年9月号(通巻331号)>
新調のすててこに名を手書きする 佐々木建成
ラムネ飲む若き大工の喉仏 山口美智
筑波山坂東太郎の脇息に 籠田幸鳴
ユトリロの白や泰山朴の花 塚本一夫
珍紛漢な若者言葉ジギタリス 福井まさこ
薫風に託し搬出公募作 田嶋しゅうじ
七変化けふは故郷の海の色 大平政弘



「都市」(主宰=中西夕紀)【2008年創刊・東京都町田市】
<2025年8月号(通巻106号)>
草笛や色白の手の他は見ず    中西夕紀
爺が子と花札遊び花の下     安藤風林
神馬にも勤務時間や扇風機    星野佐紀
今年また同じ桜に西行忌     中島晴生
光る瀬は鳥の漁り場つくしんぼ  髙橋 亘
囀やガイドの背には三鱗     永井 詩
こんなにも静かな世界揚雲雀   打木歩人


「南風」(主宰=村上鞆彦)【1933年創刊・東京都葛飾区】
<2025年9月号(通巻982号)>
六月や駅のピアノに椅子ふたつ 市原みお
樹木葬の木々の若さや驟雨来る 上田和子
老鶯のくらく玉眼ひらくなり 板倉ケンタ
梅雨明や白波の根の翡翠いろ 陰山 恵
空室の白さと思ふ日傘かな ばんかおり
生きてゐていちばん暑い桜桃忌 大熊光汰
秋草のこまかき雨に目覚めけり 佐々木千賀子


「鳰の子」(主宰=柴田多鶴子)【2011年創刊・大阪府高槻市】
<2025年8月・9月号(通巻73号)>
生き物に赤き舌ある炎暑かな  柴田多鶴子
トルソーにふはりと置きぬ春帽子  岩崎可代子
更けし夜や秘密ぽろりと多佳子の忌  松本美佐子
飛魚は海より広き空が好き   岩出くに男
泣いている子に近づきししゃぼん玉  池田和子
結末はどこかあやふや春の夢   太田健嗣
ふらここを横に揺らして寂しき子  三木夕立


「noi」(代表=神野紗希・野口る理)【2025年創刊】
<2025年8月号(通巻4号)>
はいこきふひふこきふしてレース編む  山月 恍
八月の火輪に翳す手の爛れ  武智しのぶ
選んだ方が人生マーマレード煮る  千田洋平
綺麗事ほろびミモザがまず消えて  福田春乃
つかの間の人類として海鞘を食む  本城 清
片思いみたいな気持ちで鵜飼見てた  髙田祥聖
新茶の封切ろっか明日も休もっか  宮下ぼしゅん


「濃美」(主宰=渡辺純枝)【2009年創刊・岐阜県岐阜市】
<2025年9月号(通巻198号)>
我が運の超絶不調浮いてこい 渡辺純枝
鴇色の岩波文庫秋気満つ 関谷恭子
夏蝶を浮かせてしまふシャッター音 景山啓子
七変化けふ得しわざのはや古し 伊藤健一郎
雀よくうたふ八十八夜かな 西杉佳子
パンダにも家系図ありて瓜の花 中島美恵子
神の木に定家葛が寄りそうて 村山久美子


「ホトトギス」(主宰=稲畑廣太郎)【1897年創刊・東京都千代田区】
<2025年9月号(通巻1545号)>
虫の声宇宙の崖を引き寄せて 稲畑廣太郎
秋の蛇飲み込んでゆく神の山 涌羅由美
抜け道に漂ふ気配秋の蛇 笹尾清一路
六斎の逆立ちもして獅子踊る 鳴戸まり子
サングラス犬の選びし道をゆく 青園直美
制服のブレザー硬く入学す 太田ゆう
欠伸して穴に入つてゆきし蛇 池末朱実


「街」(主宰=今井聖)【1996年創刊・神奈川県横浜市】
<2025年8月号>
祭稚児ふんどしずれてゐたりけり  今井聖
芽柳や月経なども懐かしく     太田うさぎ
海中の光の色の梅雨茸       黒岩徳将
大阪は平たき街や柏餅       西生ゆかり
黒板に行書の詩篇夏燕       蜂谷一人
青麦の中で大殺界に入る      藤井祐喜
念仏のやうな病名栗の花      竹内宗一郎


「雪華」(主宰=橋本喜夫)【1978年創刊・北海道旭川市】
<2025年8月号>
白南風や二艘の舟のやうな佐渡島(さど) 大河原倫子
炎帝や死せる蚯蚓へなほ日差し 上田美千代
車庫隅に褪せたる亡夫の夏帽子 阿部君江
釣堀や父は無口を拗らせり よしざね弓
冷素麺水の心臓かと思ふ 井上絃
前置詞として花置くならば白き薔薇 梨山碧
くたばつ亭四迷冷酒を飲みながら 幡亜陽留


【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年9月20日
*対象は「コンゲツノハイク」2025年9月分(このページ)です。
◆配信予定=2025年9月25日ごろ
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/fgen/S51058765/

【次回の投稿のご案内】
◆応募締切=2025年9月30日
*対象は原則として2025年9月中に発刊された俳句結社誌・同人誌です。刊行日が締切直後の場合は、ご相談ください
◆配信予定=2025年10月5日ごろ
◆投稿先 以下のフォームからご投稿ください。
https://ws.formzu.net/dist/S21988499/

関連記事