【夏の季語】紙魚

【夏の季語=晩夏(7月)】紙魚

衣服、紙など糊気のあるものを食する害虫。

「雲母虫(きららむし)」という異名をもつ。

動きが速く、くねるように走るため、「魚」の字を充てられている。

直射日光には弱く、死ぬこともあるので、古い文庫本の中など、暗い場所に潜んでいる。


【紙魚(上五)】
紙魚の跡たどりて紙魚に逢はんとす 後藤夜半
紙魚ならば棲みてもみたき一書あり  能村登四郎

【紙魚(中七)】
迯る也紙魚が中にも親よ子よ 小林一茶
死顔の写真いでて紙魚かくれけり 渡辺水巴
ホトトギス創刊号紙魚許されず 稲畑廣太郎

【紙魚(下五)】
松陰の書をはゞかりて紙魚乏し 森田 峠

【ほかの季語と】
光琳忌きらゝかに紙魚走りけり  飴山實



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