冬の季語

【冬の季語】襟巻

【冬の季語=三冬(11〜1月)】襟巻

【解説】

現代では「マフラー」のことを指しますが、季語としての歴史は「マフラー」よりも古く、「猿蓑」(1691)に以下の句があります。

襟巻に首引入て冬の月 杉風

「襟巻」はもともと、ご隠居の老人や病人限定のアイテムで、手拭いを襟にぐるぐると巻き付けたものだったそうです。

『隅田川雪の情景』歌川国貞 画

【襟巻(上五)】
襟巻に深く埋もれ帰去来(かへんなん) 高濱虚子
襟巻やほのあたたかき花舗のなか 中村汀女
襟巻や畜類に似て人の耳 西島麦南
襟巻の人の中なる戦災者 石塚友二
襟巻に溺れし首の晩年か 鈴木竜骨
襟巻や老のおとがひたくましく 百合山羽公
襟巻となりて獣のまた集ふ 野口る理

【襟巻(中七)】
明眸や藍襟巻の一抹に 島村元
手袋をとり襟巻はそのままに 星野立子
霧ひらく赤襟巻のわが行けば 西東三鬼
肩へはねて襟巻の端日に長し 原石鼎

【襟巻(下五)】
煙草買ふだけの外出(そとで)の襟巻して 安住敦
失望の果の安堵の襟巻ぬくし 油布五線


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