【春の季語=仲春(3月)】蕨
山菜として食用される植物のひとつ。万葉の昔から親しまれている万人向けの山菜である。
江戸時代から昭和にかけて、凶作と飢饉が起こった際には、救荒食ともなった。地下茎を掘り上げ、よく水洗いし、臼でついて砕き、布袋でこし、デンプンを沈殿させ、水でゆるく練って火にかけ、練り固めてキナコなどをまぶすと、「わらび餅」となる。
【蕨(上五)】
【蕨(中七)】
深山に蕨採りつつ滅びるか 鈴木六林男
【蕨(下五)】
眼を先へ先へ送りて蕨採る 右城暮石
集つて散つて集まる蕨狩 宇多喜代子