【春の季語=三春(2-4月)】蓬
春先、日当たりのいい場所や道端などにわらわらと生える。繁殖力はかなり強め。日本在来種。
春に若芽を摘んで餅に入れることから「餅草」も呼ばれ、また葉裏の毛を集めて灸に用いることから「灸草」とも呼ばれる。
【蓬(上五)】
蓬摘み摘み了えどきがわからない 池田澄子
蓬摘む風に膨らむ袋持ち 清水余人
【蓬(中七)】
餅になる蓬や麻の手もからず 横井也有
青空の蓬の中に白痴見る 平田修
草餅にならぬ蓬を束にして 岬 光世
【蓬(下五)】
裏門の寺に逢着す蓬かな 与謝蕪村
吹くからにひれふす風の蓬摘む 川端茅舎
帆に遠く赤子をおろす蓬かな 飴山實
まさぐる終焉手に残りしは苦蓬 中村苑子
白昼を能見て過ごす蓬かな 宇佐美魚目
歩みゆく我大いなり蓬原 南十二国