連載・よみもの

「野崎海芋のたべる歳時記」エゾシカのロースト


エゾシカのロースト、木苺のソース

Rôti de cerf à la sauce aux framboises


先日、本当に久しぶりに料理教室を再開しました。初冬のメニューに選んだのは、エゾシカです。
猟の獲物を分けていただく機会に恵まれることもありますが、最近はオンライン肉店で安定的に購入できるようにもなりました。

本州のニホンジカもそうですが、エゾシカは数が増えすぎて、森林を荒らす害獣として駆除対象になっているのだと聞きます。
わが家で食べるくらいではたいした消費量にはなりませんが、柔らかく臭みのない赤身肉のおいしさを知ってもらいたいと思い、数年前からレッスンのメニューに加えました。

エゾシカは、アイヌ文化では、神が人間のために地上へ放ってくれるものと考えられていたのだとか。
自然の恵みである鹿肉は、その癖のなさを生かし、白ワインと玉ねぎ・ハーブだけでマリネし、シンプルにロースト。
マリネ液に木いちごのジャムを加えたベリーのソースを添えました。

 猟犬を待つ白樺のほとりかな  水原秋櫻子

季語【猟犬】【狩】【猟期】【冬の鹿】【鹿】

*本記事は野崎海芋さんのInstagram( @kaiunozaki )より、ご本人の許可を得て、転載させていただいております。本家インスタもぜひご覧ください。


【執筆者プロフィール】
野崎 海芋(のざき・かいう)
フランス家庭料理教室を主宰。 「澤」俳句会同人、小澤實に師事。平成20年澤新人賞受賞。平成29年第一句集『浮上』上梓。俳人協会会員。



【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第21回】玄界灘と伊藤通明
  2. 【#26-2】愛媛県南予地方と宇和島の牛鬼(2)
  3. 俳人・広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第13回】神戸と西東三鬼
  4. 「パリ子育て俳句さんぽ」【7月9日配信分】
  5. 【読者参加型】コンゲツノハイクを読む【2022年7月分】
  6. 【#14】「流れ」について
  7. 【読者参加型】コンゲツノハイクを読む【2023年3月分】
  8. 「野崎海芋のたべる歳時記」野菜の冷製テリーヌ

おすすめ記事

  1. 天窓に落葉を溜めて囲碁倶楽部 加倉井秋を【季語=落葉(秋)】
  2. また一人看取の汗を拭いて来し 三島広志【季語=汗(夏)】
  3. 【冬の季語】枯野
  4. 雁かへる方や白鷺城かたむく 萩原麦草【季語=雁帰る(春)】
  5. 電車いままつしぐらなり桐の花 星野立子【季語=桐の花(夏)】
  6. いづくともなき合掌や初御空 中村汀女【季語=初御空(新年)】
  7. 【春の季語】白魚
  8. コンゲツノハイクを読む【2021年7月分】
  9. あきざくら咽喉に穴あく情死かな 宇多喜代子【季語=あきざくら(秋)】
  10. 【冬の季語】冬林檎

Pickup記事

  1. 【書評】小川軽舟 第5句集『朝晩』(ふらんす堂、2019年)
  2. 神は死んだプールの底の白い線  高柳克弘【季語=プール(夏)】
  3. 【冬の季語】裸木
  4. 【春の季語】雛
  5. 秋うらら他人が見てゐて樹が抱けぬ 小池康生【季語=秋うらら(秋)】
  6. 海鼠噛むことも別れも面倒な 遠山陽子【季語=海鼠(冬)】
  7. 【クラファン目標達成記念!】神保町に銀漢亭があったころリターンズ【1】/高部務(作家)
  8. 叩頭すあやめあざやかなる方へ 飯島晴子【季語=あやめ(夏)】
  9. 蓑虫の揺れる父性のやうな風  小泉瀬衣子【季語=蓑虫(秋)】
  10. とぼしくて大きくて野の春ともし 鷲谷七菜子【季語=春灯(春)】 
PAGE TOP