【秋の季語】蜻蛉

【秋の季語=三秋(8月ー10月)】蜻蛉

一般には「かげろう」と読むこともできる漢字であるが、俳句では一般にトンボのことを指す。

読みは「とんぼ」または「とんぼう」。

歴史的仮名遣いとしては「とんばう」。

「蜻蛉生る」、あるいは「川蜻蛉」や「糸蜻蛉」は夏の季語とされることが多い。


【蜻蛉(上五)】
蜻蛉や杭を離るる事二寸 夏目漱石
とんぼとぶ青空ながらくもりそめ 久保田万太郎
蜻蛉の脚の関節すこし風  桑原三郎
とんぼ連れて味方あつまる山の国 阿部完市
蜻蛉のとどまるときの翅はげし 正木浩一
上のとんぼ下のとんぼと入れかはる 上田信治
蜻蛉すいと来て先生の忌日かな 津川絵理子
蜻蛉やヒーローショーの殴る蹴る 三橋五七
とんばうの集ふあたりに加はる子 矢野玲奈
とんばうの向き変へるたび残す音 橋本小たか
蜻蛉に肉の貧しき躯かな 斉藤志歩

【蜻蛉(中七)】
看護師の胸に蜻蛉のボールペン 鷲巣正徳
琥珀の獄とんぼの咎を億年も 竹岡一郎 

【蜻蛉(下五)】
とどまればあたりのふゆる蜻蛉かな 中村汀女
背後がらあき有刺鉄線蜻蛉をとめ 林田紀音夫
前にゐてうしろへゆきし蜻蛉かな 今井杏太郎
目玉より動き出したる蜻蛉かな 白石渕路


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