冬の季語

【冬の季語】日脚伸ぶ

【冬の季語=晩冬(1月)】日脚伸ぶ

一年で明るい時間が最も短いのが「冬至」です。

したがって新年を迎えると間もなく、少しずつ日が長くなることが実感されてゆきます。

一月も終わりになれば、暦の上での「立春」はもうすぐそこ。

冬木の芽」もしだいにふくらんでいき、「春を待つ」心持ちもおのずと強まってきます。


【日脚伸ぶ(上五)】
日脚伸ぶ夕空紺をとりもどし 皆吉爽雨
日脚伸ぶ電車の中を人歩き 神蔵 器
日脚伸ぶ夫婦別なることをして 高木晴子
日脚伸びつゝ酷寒の大地あり 高木晴子
日脚伸ぶどこかゆるみし心あり 稲畑汀子
日脚伸ぶ卓に就職情報誌 山本ふく子
日脚伸ぶとは護美箱の中までも 坊城俊樹
日脚伸ぶ幹の裏より蔓のぼり 飯野きよ子

【日脚伸ぶ(中七)】
手枕や日脚伸びたる越のくに  角川照子

【日脚伸ぶ(下五)】
狂人にも狡き日のあり日脚伸ぶ 中村草田男
かくし湯のぬる湯にひとり日脚のぶ 中村苑子
探し得し古書ふところに日脚伸ぶ  大橋宵火
カレンダーを自分で作り日脚伸ぶ 加倉井秋を
留守の家に目覚ましの音日脚伸ぶ 大島英昭
帰りには膨らむ鞄日脚伸ぶ 岡田耕治
水槽に動く砂粒日脚伸ぶ ふけとしこ
文鳥に妻を娶らせ日脚伸ぶ 藤田直子
鳥はひかり人は影曳き日脚伸ぶ 岩崎喜美子
爪立ちて探す本あり日脚伸ぶ 森宮保子


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