【冬の季語=三冬(11〜1月)】懐手
和服を着たとき、手を袖から出さずに懐に入れていること。
防寒性の高い外套も増え、また和装すること自体が少なくなりつつある社会においては、あまり実感しにくい季語のひとつだが、そこに俳句的な面白さも漂う。
【懐手(上五)】
懐手蹼ありといつてみよ 石原吉郎
懐手すれば日向のあらはるる 清水径子
懐手広場は何も育まず 神野紗希
【懐手(中七)】
金借りにきて懐手解かぬとは ねじめ正也
競馬見る終に懐手を解かず 西村和子
【懐手(下五)】
ともかくもくはへし煙草懐手 木下夕爾
東山三十六峰懐手 西野文代
うみねこの二つの島に懐手 染谷秀雄
【ほかの季語と】
寒椿つひに一日の懐手 石田波郷