【夏の季語】時鳥

【夏の季語=初夏-仲夏(5月-6月)】時鳥

ほととぎす。日本へは九州以北に夏鳥として渡来する。ただし、北海道ではあまり見られない。

古来から詩歌で詠まれてきた鳥であり、時鳥は万葉集でも150首余り、古今集では夏に属する歌34首のうちの28首で詠まれている。

そのため漢字表記も実に多様で、時鳥・郭公・子規・不如帰・杜鵑・蜀魄・霍公鳥などと書く。

杜鵑まだよひながら明くる夜の雲のいづくに鳴きわたるらむ(正治後度百首 後鳥羽院)

のように、すぐに夜が明けてしまう夏の夜(=「短夜」・「明易」)に鳴く。

正岡子規は、病気で喀血したことから、「鳴いて血を吐く」と言われているホトトギスと自分を重ね合わせ、1889年より「子規」を自分の俳号として称した。俳句雑誌「ホトトギス」は、1897年(明治30年)に子規の友人である柳原極堂が創刊。夏目漱石が小説『吾輩は猫である』、『坊っちゃん』を発表したことでも知られる。


【時鳥(上五)】
ほととぎす啼やあふみの西東 黒柳召波
時鳥山手通りと覚えたり 正岡子規(「神戸」と前書あり)
ほととぎす孝君零君ききたまへ 京極杞陽

【時鳥(中七)】
谺して山ほととぎすほしいまゝ 杉田久女

【時鳥(下五)】
京にても京なつかしやほととぎす 松尾芭蕉
仔馬にも少し荷をつけ時鳥 橋本鶏二
仔馬にも少し荷をつけ時鳥 橋本鶏二
丹近き古刹を斜にほととぎす 朝妻力
洗顔のあとに夜明やほととぎす 森賀まり



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