
【冬の季語=三冬(11-1月)】鱈
一年中食べられる魚ではあるが、漢字で書かれるとおり、まさに「雪」のちらつく冬が旬。冬の鍋料理などにも欠かせない。
よく知られている種類には、マダラとスケトウダラがあるが、一般にタラというのはマダラのことを指す。
また「寒」の時期に穫れるものを「寒鱈」と呼ぶ。「干鱈」や「棒鱈」は、鱈の干物で、春の季語。
【鱈(上五)】
鱈の夢遠国に日をすごし過ぎ 飴山實
鱈船をづかづか下りし面構へ 加藤憲曠
子持鱈雪にすべらせ陸揚げす 岩崎照子
【鱈(中七)】
肋のなか鱈積み連絡船となれり 赤尾兜子
品書の鱈といふ字のうつくしや 片山由美子
開けて閉めて鱈の子どもの声がする 赤野四羽
【鱈(下五)】
大なるが滑り出にけり鱈の山 前田普羅
雪空に堪へて女も鱈を裂く 細見綾子
ききわけて海府訛は鱈の話 加藤楸邨