【秋の季語】獺祭忌

【秋の季語=仲秋(9月)】獺祭忌

9月19日。正岡子規の忌日(「子規忌」)のこと。

子規がみずからにつけた「獺祭書屋主人」という号にちなむ。

「獺祭書屋俳話」は、26歳の子規による近代詩歌としての俳句の独立宣言書。岩波文庫にも入っている。

ちなみに「獺」は、カワウソという漢字。水中に潜む獺は、魚を捕えては岸に並べたあとで食べる、という中国の伝説から、「獺魚を祭る」は、七十二候のひとつで、初春の季語とされている。長いので「獺の祭」ともいう。


【獺祭忌(上五)】
獺祭忌一日長く過しけり 九鬼あきゑ
獺祭忌邂逅の歩の向くところ 稲畑汀子
獺祭忌接骨院でうたた寝す 津田このみ

【獺祭忌(中七)】

【獺祭忌(下五)】
うち晴れし淋しさみずや獺祭忌  久保田万太郎
南海多感に物象定か獺祭忌 中村草田男
月並の句をな恐れそ獺祭忌 茨木和生
また貸しの本の戻らず獺祭忌 石寒太
髯剃りて稿を書きつぐ獺祭忌 朝妻力
今もある須磨療養所獺祭忌 橋本蝸角
父も又早世の人獺祭忌 稲畑廣太郎
スリッパの廊下に溜まる獺祭忌 潮田幸司


関連記事