【春の季語】藤

【春の季語(晩春=4月)】藤

晩春、紫色の蝶形花を長く総状にたくさんつけるのは野田藤。花房が短いのは「山藤」である。

庭園などに「藤棚」が設けられていることもあり、風にたゆたう様子は独特の美をたたえる。

季語としては「藤の花」と詠まれることもあるが、「藤」とのみ書かれれば、花を指す。

紫色が一般的だが、「白藤」もある。


【藤(上五)】
藤垂れてこの世のものの老婆佇つ 三橋鷹女

【藤(中七)】
恩寵の如し藤咲き満ちたるは 石塚友二
誘はるる藤咲くと聞き奈良と聞き 稲畑汀子

【藤(下五)】
女の心触れあうてゐて藤垂るる 桂信子
うすうすと山ありて絵も藤のころ 宇佐美魚目



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