季語・歳時記

【新年の季語】二日

新年の季語(1月)】二日

【ミニ解説】

正月二日のこと。

現在では「三が日=休日」ですが、かつて「二日」は仕事始めの吉日され、初荷、初商、書き初め、縫初めなどの行事が催されていました。

現在でも「初売」は二日から行われることもあり、家族とゆっくり過ごす元日に対し、世の中が動き始めるトクベツな日として捉えられています。

元日は嬉し二日は面白し 丈左

は、18世紀後半に活躍した俳人・一無庵丈左の一句。


【二日(上五)】
二日の日沈みつゝあり烏とび 星野立子
二日はや死病の人の牀に侍す 相馬遷子
二日はや雀色時人恋し 志摩芳次郎
二日はや整骨院に骨鳴らす 堀切克洋

【二日(中七)】
鳥の影しばしば二日を籠りゐる 阿部みどり女
元日と二日に頒ち鯛を食ぶ 村越化石
夕影の二日の富士や見給はず 小池文子
豆味噌つまみて二日の夜になり  鳥居三朗
ざくざくと歩く二日の雑木山 飯田晴

【二日(下五)】
ぬかづいて曰く正月二日なり 夏目漱石
元日の大雪なりし二日かな 高浜虚子
沖かけて波一つなき二日かな 久保田万太郎
やまのべのみちをゆきたる二日かな 高野素十
かまくらの不二つまらなき二日かな 久保田万太郎
留守を訪ひ留守を訪はれし二日かな 五十嵐播水
青空へもぐら顔出す二日かな 沢木欣一
若き日の映画も見たりして二日 大牧広
山彦も山を出ることなき二日 鷹羽狩行
赤ん坊に指先噛ます二日かな 加藤かな文


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