【春の季語】流氷

【春の季語=仲春(3月)】流氷

氷結した海水が割れて海面を漂流したもの。

流氷の南の限界はオホーツク海であるため、日本では北海道でのみ観察することができる。

流氷を見ることができる観光設備が充実している地域は、網走、紋別、知床ウトロ・羅臼の3つ。

運がよければ、ゴマフアザラシ、オオワシ、キタキツネ、エゾシカ、クリオネなどの生物を見ることができる。


【流氷(上五)】
流氷や宗谷の門波荒れやまず 山口誓子
流氷来鴉おろおろ吹きもどる 角川源義
流氷にはづみ移りの鴉かな 森田峠
流氷に無人灯台しりぞかず 森田峠
流氷に夜はたてがみの欲しきかな 落合水尾
流氷へひとりの帽はとがり佇つ 上田睦子
流氷の離岸パスタの湯が滾る 五十嵐秀彦
流氷が繋ぐ北方領土かな 大槻独舟
流氷の勝ち気なるさま迷ふさま 櫂未知子
流氷は嘶きをもて迎ふべし 青山茂根
流氷動画わたしの言葉ではないの 田島健一
流氷の音人体に骨二百 岡田由季
流氷接近左手に本のせている 谷さやん
流氷をたぶん一度も見ずに死ぬ 五十嵐箏曲
流氷に鴇色広げ日の昇る 鶴岡加苗
流氷も頸椎も切るピアノ線  野口る理
流氷をかち割る船のなか尿る 岩田奎

【流氷(中七)】
口をつく語を流氷の奪ふなり 石川桂郎
絵葉書の消印は流氷の町 大串章
誰も口にせぬ流氷の向かうの地 塩崎帆高

【流氷(下五)】
いつもこのかたちに眠る流氷よ 飯島晴子
聞かれざる言葉影なす流氷期 仙田洋子
四十億年過ぎて我あり流氷と  岡本紗矢


【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】



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