【冬の季語】冬浅し

【冬の季語=初冬(11月)】冬浅し

立冬」は過ぎたものの、まだ寒さはそれほどでもないころのこと。連体形は「冬浅き」。

春浅し」は「浅春」とはいうが、「冬浅し」を「浅冬」とはあまり呼ばない。


【冬浅し(上五)】
冬浅き月にむかひて立ちし影 久保田万太郎
冬浅き靴の埃を払ひけり 川崎展宏

【冬浅し(中七)】

【冬浅し(下五)】
蛍光灯唄ふごと点き冬浅し 藤田湘子
ことさらに耀ふ川や冬浅し 長倉閑山

【十一月の雨】
雨の十一月林檎灯あつめ前夜祭 古沢太穂
ベッド組み立てて十一月の雨 皆吉司
からまつに十一月の雨の音 野中亮介

【十一月の空】
青色の絵具十一月の空 林浩世
かたくなな十一月の空がある 櫂未知子 

【十一月の月】
信濃全山十一月の月照らす 桂信子

【十一月の水】
貌うつす十一月の水の張り 桂信子

【十一月の木】
武蔵野は十一月の欅かな 松根東洋城
光まとひて十一月の枯木ども 相馬遷子
からまつの十一月の林かな 今井杏太郎
猫のぼる十一月のさるすべり 青柳志解樹

【十一月の花】
この国の十一月は椿咲く 高野素十 
今日よりは十一月の石蕗の花 高木晴子
みせばやの花紅ふかく十一月 山口青邨
詩の湧きつぐことが詩十一月の薔薇 中村草田男

【十一月の船】
十一月の船落ちてゐる騙し舟 攝津幸彦

【十一月六日】
十一月六日は雨の親しかり 島谷征良
十一月六日を記す雨とのみ 手塚美佐

【十一月二十五日】
虚子に問ふ十一月二十五日のこと如何に 川崎展宏


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