【解説】語源は「火垂る」または「火照る」からきているそうです。
【関連季語】蛍狩、蛍籠など。
【蛍】
約束の蛍になつて来たと言ふ 真鍋呉夫
姿見に入つてゆくし螢かな 真鍋呉夫
また痩せて蛍のにおいする褥 澀谷 道
ゆめのなか蛍の川は熱かりし 澁谷 道
蛍もう別の生きもの日が射せば 桂 信子
みぞおちを照らしに来たる大螢 柿本多映
じゃんけんで負けて蛍に生まれたの 池田澄子
ぬばたまの大地溝帯を飛ぶ螢 櫂未知子
【蛍火】
はかなさはいづれ衣の香と蛍火と 桂 信子
より強き蛍火となり逃れたる 岡本 眸
おのづから籠の形を螢火は 鷹羽狩行
【蛍の夜】
ふるさとに蛍の夜あること愉し 深川正一郎
ゆるやかに着てひとと逢ふ螢の夜 桂 信子
【恋蛍】
恋蛍ひとつ乳房の間に入れ 仙田洋子
【その他】
蛍火におぼるるごとし桜桃忌 石川桂郎
螢・蝶・空蟬この世に遅れ着く 齋藤愼爾