【解説】蚊に似ているが、蚊よりも大きく、手脚が長い。それほど速く飛ぶわけでもなく、死骸はつつけばバラバラになってしまうほど貧弱。一般的には「大蚊」という漢字を当てるが、俳句では、ひらがな表記が一般的。「蚊の姥(うば)」と呼ぶことも。
【関連季語】蚊、蚊遣火、蝙蝠など。
【ががんぼ】
障子打つががんぼにさへ旅心 高濱虚子
ががんぼの意志の脚まで伝はらず 後藤比奈夫
ががんぼの脚の揃つてゐる不安 後藤比奈夫
ががんぼ打つ影のいのちのまた来るを 野澤節子
寺にゐてががんぼとすぐ仲良しに 波多野爽波
神々に絶えず呼ばれてががんぼは 藤田湘子
ががんぼを厨に残しフランスへ 塩谷康子
ががんぼの気持ちを百字で述べなさい 静 誠司
ががんぼのぶつかりさうな中華鍋 西村麒麟
【蚊の姥】
蚊の姥の名こそよけれと見おくりぬ 飯島晴子
蚊の姥の竹生島より来りしか 星野麥丘人