【夏の季語】薄暑

【夏の季語=初夏(5月)】薄暑

初夏」のころの、少し感ずる程度の「暑さ」のこと。

日差しに夏らしさを感じることもあり、「薄暑光」という言葉が用いられることもある。

また、夕方になっても暑さを感じることを「夕薄暑」といってみたりもする。


【薄暑(上五)】
薄暑の旅の酒まづし飯まづし 田中裕明
薄暑の手ふらふら降つてもうゐない 冬野虹

【薄暑(中七)】
身勝手の叔母と薄暑の坂下る 塚原麦生

【薄暑(下五)】
笋の皮の流るる薄暑かな 芥川龍之介
人々に四つ角ひろき薄暑かな 中村草田男
パン屋の娘頬に粉つけ街薄暑 高田風人子
噺家の扇づかひも薄暑かな 宇野信夫
はたらいてもう昼が来て薄暑かな 能村登四郎
自転車のベル小ざかしき路地薄暑 永井龍男
個展より個展へ銀座裏薄暑  鷹羽狩行
箸置きを据ゑて箸置く薄暑かな 岩淵喜代子
抱く犬の鼓動の早き薄暑かな 井上じろ
ジーンズに腰骨入るる薄暑かな 恩田侑布子
賞状の並ぶ仏間や夕薄暑 飯田冬眞
男子校に秘密いくつか薄暑光 佐々木紺



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