【春の季語】春の泥
【ミニ解説】
「春泥」のこと。
【春の泥(上五)】
春の泥椿の幹にしたゝかに 西山泊雲
春の泥御用詩人が世なりけり 加藤郁乎
春の泥オモニがチマをちよと抓み 山尾玉藻
春の泥乾きて藁の上にあり 田中裕明
春の泥跳んでお使ひ忘れけり 黛まどか
【春の泥(下五)】
塔の前金堂の前春の泥 高濱虚子
鴨の嘴よりたらたらと春の泥 高濱虚子
寺子屋に傘多し春の泥 松瀬青々
丸善を出て暮れにけり春の泥 日野草城
曾根崎の昼闌けにけり春の泥 日野草城
風吹いて朝日さすなり春の泥 渡邊白泉
子の血吸ふ舌いつぱいに春の泥 長谷川秋子
春泥の子の血吾が唇もて覆ふ 長谷川秋子
みごもりて裾につきゐる春の泥 細見綾子
六道のどの道をいま春の泥 上田五千石
勤めあるごとく家出て春の泥 鷹羽狩行
午前より午後をかがやく春の泥 宇多喜代子
報われし恋も捨て頃春の泥 佐藤文子
遊ぶことばかりかんがへ春の泥 田中裕明
群羊に隈なく踏まれ春の泥 日原傳
うらなりの乳房も躍る春の泥 榎本バソン了壱
足が向くところかならず春の泥 草深昌子
逡巡の吸殻あまた春の泥 広渡詩乃
たつたいま猪掘りしかと春の泥 如月真菜
【セクト・ポクリット管理人より読者のみなさまへ】