
【秋の季語=晩秋(10月)】菊人形

菊細工の一種で、菊の花や葉を細工して人形の衣装としたもの。また、その人形を展示する興行のこと。人形に菊を着付ける「菊師」が詠まれることもある。福島県二本松市、福井県越前市の菊人形が有名。歴史的仮名遣いは「きくにんぎやう」。
【菊人形(上五)】
菊人形たましひのなき匂かな 渡辺水巴
菊人形鎧は殊に朱を連ね 久米正雄(三汀)
菊人形白きつまさき見えてよし 百合山羽公
菊人形問答もなく崩さるる 藤田湘子
菊人形言葉足すごと菊を足す 伊藤政美
菊人形水を隔てているような 曾根毅
【菊人形(中七)】
風すぎる菊人形の前の水 辻桃子
灯を消して菊人形の老ゆる刻 能村研三
霧吹きて菊人形の姫起こす 伊藤伊那男
自刃せし菊人形の匂ひかな 仙田洋子
灯を置きて菊人形に鋏かな 依光陽子
【菊人形(下五)】
怪しさや夕まぐれ来る菊人形 芥川龍之介
マッチの火消えたる闇の菊人形 細川加賀
あな遠き吉野の人や菊人形 波多野爽波
たましひは人に預けて菊人形 山田みづえ
陰謀の場を煌々と菊人形 鷹羽狩行
あわれとは水飲みにくる菊人形 渡辺誠一郎
弁慶のもつとも匂ふ菊人形 小島健