<はじめに> → 「句集ホロスコープ」【#1】
【今月の1冊/今月の1句】


手を握るだけの診療桐一葉
『匙のうら』森羽久衣
2023年12月25日 東京・正午
太陽/山羊座、月/双子座、水星/射手座、金星/蠍座、火星/射手座、木星/牡牛座、土星/魚座、天王星/牡牛座、海王星/魚座、冥王星/山羊座
最初に気がついたのは、ミニトラインと呼ばれる二等辺三角形の配置です。『匙のうら』は、魚座にある土星が山羊座にある太陽と牡牛座にある木星との間にそれぞれ60度を作り、太陽と木星は120度で二等辺三角形が出来上がります。120度のトラインは調和と自然な流れを表し、60度のセクスタイルはお互いを理解し協力し合える関係性です。このミニトラインは形のないものを管轄する水のエレメンツに属する魚座と手で触れられるものを扱う地のエレメンツの山羊座、牡牛座の組み合わせです。この組み合わせには、降った雨が木々や山に浸み込み、それが水蒸気となって雲を作り、また雨が降るというような自然の循環のイメージがあります。そしてこの循環は『匙のうら』の表紙に描かれた、雲、水滴、山、葉、水たまりのやわらかな水彩画に通じています。
もう一つ印象的なことは海王星とのアスペクトが多いということです。海王星は感情、夢、幻想、慈善、博愛などを司ります。ですから、海王星がアスペクトを作っているとロマンチックになります。また、弱いものに対して奉仕の心を持ちますし、理想主義的な一面もあります。
『匙のうら』の海王星は2つのスクエア(90度)と1つのトライン(120度)を作っています。水星とのスクエア(90度)は想像力の豊かさを示唆し、火星とのスクエア(90度)は理想に向かう情熱を表します。金星のタイトなトライン(120度)は、夢と愛が静かに溶け合うような、すばらしくロマンチックな配置です。また、他者の痛みに触れ、寄り添うまなざしも海王星的です。この句集は作者の職業である医業についての句が多いのですが、そんなところにも海王星にある癒しが息づいています。
手を握るだけの診療桐一葉
東洋医学での脈診は脈の深さ、早さ、強さ、リズムなど28種類とも言われるものを読み取るそうです。手を握るだけで全盛期のそれとは違う微かなものを感じとります。
(岸田祐子)
【執筆者プロフィール】
岸田祐子(きしだ・ゆうこ)
「ホトトギス」同人。第20回日本伝統俳句協会新人賞受賞。
↓岸田祐子さんの「ハイクノミカタ」(2025年4月〜8月連載)は、
バスケットボール漫画の金字塔『SLAM DUNK』に沿って俳句を読む企画🏀
